2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570190
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森島 信裕 The Institute of Physical and Chemical Research, 中野生体膜研究室, 専任研究員 (40182232)
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Keywords | 筋分化 / アポトーシス / 細胞培養 / 小胞体ストレス / カスパーゼ |
Research Abstract |
小胞体ストレスがどのようにして筋分化過程における筋芽細胞の生死決定に関わっているかについて検討した。筋分化過程の開始とともにインシュリン様成長因子II型(Insulin-like growth factor II, IGF-II)の発現が高まることが知られている。IGF-II組換えタンパク質を分化培地に添加すると分化初期のアポトーシスが著しく抑制され、IGF-IIが筋芽細胞の生存を促進することが確認された。小胞体ストレス誘導剤によってストレスを増強した場合、培地中のIGF-II量の立ち上がりが1日以上遅れた。ストレス増強条件下では細胞内のIGF-II前駆体は分化初期の間コントロール細胞に比べて少なく、小胞体ストレスが生存因子の合成を低下させる事を示唆した。細胞外に分泌されたIGF-IIはマンノース6リン酸化タンパク質受容体によって細胞内に取り込まれて分解される。マンノース6リン酸化された細胞外タンパク質はこの過程を阻害するが、ストレス増強によって阻害タンパク質は著しく減少し、IGF-IIに対する分解抑制効果が低下していた。以上の結果から、筋分化過程における小胞体ストレスはIGF-IIのレベルを下げる効果を発揮し、筋芽細胞にアポトーシスを誘導する環境を作っていることが示唆された。私たちは抗アポトーシスタンパク質、Bcl-xLが小胞体ストレス誘導性アポトーシスを抑制する機能を持つことを以前示している。筋管形成に参加する筋芽細胞(生細胞)は増殖中の筋芽細胞と同レベルのBcl-xLを含んでいるのに対し、アポトーシスを起こした筋芽細胞においてはBcl-xLの量が著しく減少していた。ストレス増強はより多くの細胞でBcl-xLの減少を引き起こす効果があり、それによってアポトーシスを促進していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)