2006 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の維持に不可欠なシグナルが幹細胞ニッチェで局所的に活性化される仕組みの解明
Project/Area Number |
18570194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川瀬 栄八郎 京都大学, 再生医科学研究所, 講師 (70402790)
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Keywords | 発生分化 / 生殖細胞 / 幹細胞 |
Research Abstract |
幹細胞の未分化維持機構及びその分化制御機構にニッチェとよばれる微少環境が重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。しかし多くの場合、生体内での幹細胞を同定することは容易ではなく、幹細胞及びそのニッチェも同定できていないまま、研究が行われていることが多い。ショウジョウバエ雄生殖細胞の系では、生殖幹細胞、及びニッチェが明確に同定でき、非常に魅力的な系を提供している。ハエの精巣の先端にはハブと呼ばれる特殊構造が存在し、生殖幹細胞は通常ハブへのコンタクトが不可欠である。例えば、生殖幹細胞に不可欠な因子であるJAK-STATシグナルを活性化するリガンドであるUnpairdはハブで強く発現が見られる。このようにハブが生殖幹細胞の未分化維持に直接関与していることは明らかである一方、他のニッチェの構成要素についてはその直接的な関与は今まで明らかにされていなかった。今回、我々はハブ以外のニッチェ構成要素がが生殖幹細胞の維持に直接関与していることを見出した。突然変異体では生殖幹細胞が減少し、またハブ以外の体細胞だけでその遺伝子を発現(レスキュー)させることにより、生殖幹細胞の維持に対して効果を確認することができた。今後、このシグナルの上流及び下流を解析し、その全体像を明らかにしていきたい。またBMP-Smadシグナルの標的遺伝子としてbamがあるが、BMP-SmadシグナルがBamの遺伝子発現を抑えることが生殖幹細胞の未分化維持に十分であるのかどうかについては今まで不明であった。BMP-Smadシグナル変異体にbamの突然変異体を加えるレスキュー効果は部分的にとどまり、BMP-Smadシグナルがbam以外にも未分化維持に関与していることが明らかとなった。今年度はbamの遺伝子の発現抑制以外に、BMP-Smadシグナルがどのように幹細胞の未分化維持機構に関与しているのか明らかにしていきたい。
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