2007 Fiscal Year Annual Research Report
EGFリピートを持つ細胞増殖因子の細胞内輸送分子、cnilの機能解析
Project/Area Number |
18570195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千坂 修 Kyoto University, 生命科学研究科, 准教授 (80188474)
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Keywords | cornichon-like protein / cornichon-homolog2 / HB-EGF / 輸送 / 神経堤細胞 / 鰓弓神経 / 分泌 / 細胞移動 |
Research Abstract |
19年度はニワトリcnil遺伝子産物の細胞生物学的機能解析と、関連する細胞増殖因子の探索を行った。ニワトリ胚発生中期後脳部において発現する遺伝子でEGFリピートを持つものを検索した。その結果、HB-EGF(heparan-binding growth factor-like growthfactor)が、後脳部神経管に一様に発現している事が分かった。このHB-EGFに対してRNA干渉を起こす二重鎖RNAを、ニワトリ胚発生中期後脳部に電気穿孔法で導入すると、cnil遺伝子産物のカルボキシ末端欠損体の導入によって生じた表現型と同様に、鰓弓神経の神経節間に異常な軸索連絡が生じた。 HB-EGFはErbB4(受容体型チロシンリン酸化酵素)のリガンドであり、この結果はこれまで報告されて来たErbB4欠損による鰓弓神経の異常と良く符号する。更にヒト培養細胞を用いて、HB-EGFの分泌に関するcnilの影響を調べた。その結果cnil遺伝子産物は、HB-EGFの細胞外への分泌を促進することが分かった。同じ系で、カルボキシ末端を欠損したcnil遺伝子産物は優性不能型変異体として働く事も確認した。また、共発現させた培養細胞系を用いた免疫沈降法により、cnilタンパクとHB-EGF前駆体は細胞内で結合していることも示す事ができた。これらの結果をアメリカ細胞生物学会誌に発表した。更に、cnil遺伝子発現が見られる組織での機能を解析するために、カルボキシ末端を欠損したcnil遺伝子産物を時期・組織特異的に発現させるためのトランスジェニックマウスの作製を試みた。現在、実際にこのcnil変異体が組織特異的に発現するかどうか、検討中である。
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