2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期神経発生におけるSOX因子の転写調節ネットワークの小型魚類を利用した解析
Project/Area Number |
18570197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蒲池 雄介 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教授 (90263334)
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Keywords | 遺伝子 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究は、小型魚類であるゼブラフィッシュのモデル生物としての特徴を生かして、初期発生におけるグループB1 SOX因子(SOX1/2/3/19)の転写調節ネットワークを解析し、特に初期神経発生におけるグループB1 SOX因子の役割を解明することを目的に実施する。グループB1 Sox遺伝子は、神経誘導に伴って発現が開始されることから、初期発生、特に神経系の発生に重要であると考えられるが、loss of function(機能欠損)による解析が充分には行われていないことから、本研究ではmorpholinoアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたノックダウンによるloss of function解析を体系的に行う。 初期胚で働くsox2,3,19a,19bについて、一遺伝子ずつをノックダウンした場合は、ほとんど胚発生に影響を与えなかったが、4遺伝子を同時にノックダウンすると、中枢神経系の形成をはじめとして胚発生に著しい異常が見られた。この発生異常は、いずれかのmRNAを同時に導入することでかなり軽減されることから、各遺伝子の分子機能に大きな違いはなく、各遺伝子の個性は主に発現パターンの違いに由来すると考えられる。一方、上記のいずれかのB1 soxをノックダウンすると、その遺伝子の発現がRNAレベルで上昇することが分かった。これには、タンパク質の発現レベルを保とうとするフィードバック制御が働いていると思われる。さらに興味深いことに、この時、直接ノックダウンを行っていない他のB1 soxの発現もRNAレベルで上昇していることが分かった。したがって、フィードバック制御のメカニズムは、B1 soxの活性の総和に対して働いていると考えられる。また、一遺伝子のノックダウンが胚発生に与える影響が少ないのは、他の遺伝子が通常以上に発現されることによるものと思われる。
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