2007 Fiscal Year Annual Research Report
初期神経発生におけるSOX因子の転写調節ネットワークの小型魚類を利用した解析
Project/Area Number |
18570197
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蒲池 雄介 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (90263334)
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Keywords | 遺伝子 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究は、小型魚類であるゼブラフィッシュのモデル生物としての特徴を生かして、初期発生におけるグループB1 SOX因子(SOX1/2/3/19)の転写調節ネットワークを解析し、特に初期神経発生におけるグループB1 SOX因子の役割を解明することを目的に実施する。グループB1 Sox遺伝子は、神経誘導に伴って発現が開始されることから、初期発生、特に神経系の発生に重要であると考えられるが、loss of function(機能欠損)による解析が充分には行われていないことから、本研究ではmorpholinoアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたノックダウンによるloss of function解析を体系的に行う。 初期胚で働くsox2,3,19a,19bについて、1遺伝子ずつをノックダウンした場合は、ほとんど胚発生に影響を与えなかった。3遺伝子までの同時ノックダウンでは、軽微な胚発生の異常が見られるだけであったが、4遺伝子を同時にノックダウンすると、初期発生のパターニングと中枢神経系の形成に著しい異常が見られた。4遺伝子ノックダウン胚で、遺伝子発現にどのような変化が生じているかを、RT-PCR法、insituハイブリダイゼーション法などで調べたところ、背腹軸の決定に関わる遺伝子群、胚の収斂伸長運動に関わる遺伝子群の発現に変化が見られ、これらが胚の形態異常の原因であることが分かった。また、神経発生のごく初期の細胞分化に関わる遺伝子群が発現されないことが判明した。これは、グループB1 SOX因子が神経系の発生に必須の因子であることを示している。
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