2006 Fiscal Year Annual Research Report
WNTシグナルによる新規の極性形成機構の分子レベルでの解析
Project/Area Number |
18570199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 邦明 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (70311305)
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Keywords | 線虫 / 初期胚 / 極性 / 発生 / WNTシグナル |
Research Abstract |
細胞の非対称分裂は、多細胞生物における細胞種の多様性を生み出すのに必要不可欠な現象である。その非対称性(極性)を誘起するシグナル伝達経路の一つとして、Wntシグナルは広く研究されている。Wntシグナル経路の分子群は古くから同定されているが、その極性形成における作用機序は不明な点が多い。本研究の目的は、形質膜におけるWntリガンドの結合によるFz受容体の活性化が、最終的に核内のターゲット遺伝子の転写調節として変換されるシグナル伝達現象を分子レベルで理解することである。 平成18年度はWntシグナル伝達現象の解析に必要なトランスジェニック線虫や温度感受性変異株等の材料を準備することに主眼をおいた。Wntシグナル伝達経路ではDishevelled分子が重要な役割を果たすと考えられるので、Dishevelled分子に蛍光タグ(GFP)を付加した融合たんぱく質でDishevelled変異株をレスキューすると同時に、その蛍光によりDishevelled分子の局在がリアルタイムで解析できる系を立ち上げた。来年度はWntシグナル経路の変異株を用いて、Dishevelled分子のWntシグナルによる制御に関して詳細な解析を行なう。 さらに、新たなWntシグナル伝達経路の制御分子を見いだすため、この経路の主要なエフェクターであるβ-Cateninの温度感受性変異株を用いたサプレッサー遺伝学を行なった。サプレッサー株の多くは、β-Catenin分子内に2つ目の変異が入ったものであった。他にも、原因遺伝子が別のクロモソーム上に存在すると考えられるサプレッサー群も取得されたので、現在、遺伝子マッピングを行なっている。来年度は原因遺伝子を特定し、この分子がどのようにWntシグナル伝達経路に寄与しているのかをDishevelledやβ-Cateninのリアルタイム解析系等を用いて検討する。
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