2006 Fiscal Year Annual Research Report
未分化性幹細胞の可能性(Potency)と未分化性維持機構の解析
Project/Area Number |
18570201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
白吉 安昭 鳥取大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90249946)
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Keywords | 胚性幹細胞 / テラトカルシノーマ細胞 / 未分化性 / 多能性 / 分化能 / 細胞融合 / 染色体 |
Research Abstract |
1.細胞融合を用いた全能性、未分化性維持に関わる染色体マッピング F9細胞とP19細胞との雑種細胞株を約30株分離し、現在、その分化能、未分化性維持機構などについて解析中である。そのため、まだ、分化能等に関連する染色体の同定には至っていない。一方、ヒト21番染色体をマウスES細胞に移入した細胞株を解析したところ、心筋細胞の拍動の遅れを観察することができた。これは、ES細胞の心筋分化が、染色体の移入によって影響を受けることを示唆している。なお、分化能の検討は、主に心筋細胞への分化誘導系を用いて行っている(白吉、久留、2007)。 2.FDIAを担う遺伝子のクローニング ES細胞のRex1遺伝子座へのEGFPのノックインに成功した。この細胞株は、当初の計画通り、未分化状態でEGFPを発現し緑色蛍光を発し、分化とともにEGFPの発現を消失し緑色蛍光を検出できなくなった。 この細胞株を用いて、FDIAの発現クローニングを試みたところ、HP1β遺伝子が見出された。HP1β遺伝子は、ヘテロクロマチンなどの構成成分であり、核内で働くと想定されるため、分泌型因子であるFDIAそのものではあり得ないが、ES細胞の分化あるいは未分化性維持機構に作用している可能性があるので、現在、過剰発現実験などを試みている。HP1はクロマチンの構成成分であることから、平成19年度以降の研究テーマであるが、F9細胞とES細胞との間で、発現パターンなどの比較し、両者の細胞間でクロマチン構造に違いが見られるか検討中である。 3.FDIAを構成する因子の同定 FDIAをクローニングする方法の1つとして、分泌型の分化抑制因子を細胞の培養上清から精製し、同定するアプローチを新たに開始することにした。基本的な性質の検討を進めている段階である。また、FDIA活性の強い細胞株の選択なども並行して行っている。
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