2007 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌耐熱実験進化系を用いた細胞間相互作用およびゲノム構造変化の解析
Project/Area Number |
18570219
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岸本 利彦 Toho University, 理学部, 准教授 (90339200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 哲也 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00222399)
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Keywords | 大腸菌 / 進化 / 耐熱性 / 相互作用 |
Research Abstract |
平成19年度は、継代培養を用いた種々の耐熱進化大腸菌株の構築、耐熱適応進化過程における挙動解析および大腸菌間の相互作用解析、耐熱進化大腸菌を分離培養し分離前後での特性の評価(共生効果等)、耐熱進化大腸菌のゲノム構造解析を中心として行い、得られた研究成果を総括するを目的として研究を進めた。 種々の耐熱進化大腸菌の構築に関しては、45℃耐熱性大腸菌の構築に成功した。39,41,43,45℃に耐熱進化した大腸菌を用い高温適応進化する過程での大腸菌の大きさ、内部構造、タンパク質発現、ゲノム含量等のパラメータの解析を行い、高温への温度変化直後には大腸菌の分布が大きく変動しそのご高温特有の分布に収束してゆくことを確認した。特に、39℃適応では、39℃温度変化時に大腸菌の死滅がほとんどないため、集団としての挙動解析が可能で、温度変化直後に細胞内タンパク質発現量のバラツキが大きくなり、見かけ上の大腸菌の表現型がばらつくことで可塑性が大きくなり、その後、39℃に適応してゆく可能性が確認された。 耐熱進化過程における大腸菌間相互作用解析においては、45℃耐熱化過程で分秘物による耐熱化にむけた相互作用を確認し、その分泌物の精製・構造解析を実施し、最終的にウラシルを候補物質として同定した。しかし、ウラシルでは培養液中の活性の1/6程度しか活性を示さないため、今後さらに分泌物質の探索を行う必要がある。また、相互作用形式を確認するためのセルソーターによる大腸菌分離実験を検討し、0.5-1.0um程度と2.0um以上の大腸菌の分離培養を可能とした。 ゲノム構造解析においては、39,41,43℃耐熱性大腸菌を用い、DNA染色による細胞あたりのゲノム含量、ゲノムあたりのGC含量の検討を行った結果、高温適応に伴いゲノム含量が増加し、GC含量が低下する傾向を確認した。現在、GC含量も含め、DNAチップ解析を実施中である。
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