2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570223
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五十嵐 由里子 Nihon University, 松戸歯学部, 講師 (60277473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 英作 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050648)
鈴木 久仁博 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30256903)
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Keywords | 下顎隆起 / 縄文時代 / 現代 / 歯数 / 歯の位置異常の程度 / 咬耗量 / 年齢 |
Research Abstract |
縄文時代人245個体、弥生時代人147個体、古墳時代人98個体、鎌倉時代人242個体、室町時代人41個体、江戸時代人183個体、近代人140個体、現代人223個体について、下顎隆起の出現状況を観察した。その結果、下顎隆起は、縄文時代の人に高頻度で見られ(触診でわかる下顎隆起を持つ個体が88%、肉眼でわかる下顎隆起を持つ個体が81%)、弥生時代以降その頻度が低下したが、現代になって、再び高頻度で見られるようになった(触診でわかる下顎隆起を持つ個体が83%、肉眼でわかる下顎隆起を持つ個体が74%)。その上発達した下顎隆起は現代人で最も高頻度で見られ(21%)、その値は縄文時代の値よりも高い(9%)ということがわかった。次に下顎隆起の発達程度と環境因子(歯数、歯の位置異常の程度、咬耗量、年齢)との相関を、縄文時代人、弥生時代人、鎌倉時代人、近代人、現代人において分析した。その結果は「下顎骨への負荷が下顎隆起を発達させる」という仮説を支持するものとなった。以上から、縄文時代人と現代人では下顎隆起の成因が異なり、縄文時代人は、遺伝的に下顎隆起が発現しやすく、また咀嚼時の下顎骨への負荷が大きいために下顎隆起が発達したのに対し、現代人は、咬合圧は少ないが、長生きすることによって下顎骨への負荷が累積して下顎隆起が発達し、今までには見られなかった新しいタイプの下顎隆起の頻度が高くなった、と考えられることがわかった。 下顎隆起の内部構築の観察、組織学的観察は、現在行っているところである。
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Research Products
(1 results)