2007 Fiscal Year Annual Research Report
バレイショにおける倍数性の科学(異質6倍体ゲノムの分解)
Project/Area Number |
18580005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
保坂 和良 Kobe University, 農学研究科, 教授 (60222428)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / バレイショ / ゲノム / 倍数性 / 青枯病 |
Research Abstract |
バレイショ野生6倍種Solanum demissum(dms)に普通バレイショ品種「長系126号」(tbr)を交雑して得たF_1(dms×tbr)およびF_1(tbr×dms)を雌親としtbrを交雑すると、成功率はそれぞれ24.6%および32.5%で、平均一粒重も0.93mgおよび0.97mgとなり巨大種子が得られた。しかし、逆交雑およびF_1雑種の自殖では全く着果は見られなかった。また、F_1(tbr×dms)のdmsへの戻し交雑では、正逆ともに種子が得られた(交雑成功率はそれぞれ19.9%および49.4%)。F_1×tbrで得られた205個体の体細胞染色体数は、中間の54を平均として48から60の範囲で正規分布を示した。5倍雑種のゲノム構成がAAA^tDD^dであるとすれば、Aゲノムが分解されたことによって1ゲノム分に相当する染色体数の変異が生じているものと類推された。 BC_1[(dmsxtbr)×tbr]およびBC_1[(tbrxdms)×tbr]のtbrとの交雑では、BC_1を母親とすると容易に交雑に成功し(37.0%)、花粉親としても交雑成功率は低い(5.6%)ものの果実を得ることができた。蛍光顕微鏡を用いて花粉管伸長を観察すると、いずれの交雑組み合わせにおいても量の多少はあれ、花粉管は胚珠に到達していた。以上のように、dmsおよびその後代雑種の花粉は明らかに受精能力を持っており、正逆交雑における違いは、雌雄の胚乳形成因子の違いに原因があると考えられる。 高度青枯病抵抗性として選抜された2個体のF_1(dms×tbr)(6H40-1および6H40-2)を母としてtbrを交雑し、BC_1種子を得た。これから、シードリングバイオアッセイチャンバー法によって、それぞれ16個体の高度青枯病抵抗性個体を選抜した。
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