2008 Fiscal Year Annual Research Report
バレイショにおける倍数性の科学(異質6倍体ゲノムの分解)
Project/Area Number |
18580005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
保坂 和良 Kobe University, 農学研究科, 教授 (60222428)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / バレイショ / ゲノム / 倍数性 |
Research Abstract |
バレイショ野生6倍種Solanum demissum(dms)に普通バレイショ品種「長系126号」(tbr)を交雑して得た正逆F_1雑種、F_1(dms×tbr)およびF_1(tbr×dms)を花粉親としdmsに交雑すると、平均交雑率はそれぞれ7.6%と38.3%で、明らかに異なる交雑率を示した。この正逆F_1雑種の花粉DNAにおける差異およびDNAメチル化の違いを明らかにするため、メチル化感受性制限酵素(HpaIIとMspI)を利用したAmplified Fragment Length Polymorphism(AFLP)法を行った。 63プライマーペアでAFLP法を行った結果、花粉DNAで12237本のバンドが検出され、このうち1226本がメチル化感受性でメチル化率は10.02%となった。葉DNAでも同様にメチル化率を調査したところ、9.99〜10.02%となり、植物体とそれが生産する雄性配偶子のDNAは同じメチル化程度であることを明らかにした。正逆F_1雑種の混合花粉DNAには28本の異なるバンドが検出された。これらのバンドについて個体別に花粉DNAを調査すると、4本のバンドだけが、雑種内個体間で共通に見られ雑種問で異なるバンドで、いずれもメチル化感受性バンドであった。したがって、正逆F_1雑種の花粉は少なくとも同じ核DNA組成を持ち、違いはDNAのメチル化によるものと考えられた。近年、DNAのメチル化は遺伝子発現制御に関わっていることが知られているので、これら4つのDNAメチル化の違いは正逆F_1雑種の花粉における何らかの遺伝子発現に関与するものと推測される。
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