2006 Fiscal Year Annual Research Report
オオムギにおける穀粒の皮裸性の発現機構に関する分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
18580006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
武田 真 香川大学, 農学部, 教授 (40216891)
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Keywords | オオムギ / 種子 / 遺伝子 / 皮麦 / はだか麦 / 機能解析 |
Research Abstract |
オオムギには種子と内外頴が密着する「皮性」と、両者が分離できる「裸性」がある。皮裸性は穀粒の用途に関係する重要形質で、裸性は単一劣性遺伝子(nud)に支配される。他のイネ科作物は全て裸性であることから、皮裸性の分化はオオムギ固有の形質として注目される。今年度はNud遺伝子座を包含する物理地図を完成させ、候補領域の塩基配列を決定し、Nud遺伝子の候補を絞り込んだ。さらに、モデル植物の情報をもとに、オオムギNud遺伝子の機能を推定し、遺伝子の発現解析ならびに組織学的観察により、皮裸性を決定する機構の解明を試みた. オオムギ皮性品種はるな二条のBACライブラリーを用い染色体歩行を継続したところ、総長が約500kbのコンティグが構築でき,これによりNud遺伝子座を完全に包含する物理地図が完成した.全体をシーケンスし,得られた配列データをもとに候補遺伝子の絞り込みとアノテーションを行った。その結果、AP2/EREBP転写因子が最も有力な候補と考えられた。 RT-PCR法を用いてAP2/EREBP遺伝子の頴果、頴、および止葉における発現を調査したところ、頴果では開花後7日目と14日目をピークとして発現が認められたが、止葉および頴では検出されなかった。In situハイブリダイゼーションで,この遺伝子は種皮特異的に発現していることがわかった. Nudの候補遺伝子に類似の転写因子はシロイヌナズナにも存在し、脂質関連遺伝子の発現を高めると報告されている。そこで、脂質染色剤ズダンブラックB染色したところ、皮性系統では果皮表面が濃く染色されたが、裸性系統ではほとんど染色がみられなかった。また、皮性系統の方が裸性系統よりも頴果からの葉緑素の溶出ならびに水分消失が早かった。したがって、皮麦では脂質層が存在することで頴果内部からの透過性が増大し,糊状物質の分泌が起こり,内外頴と頴果が接着すると推察される.
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Research Products
(2 results)