2008 Fiscal Year Annual Research Report
オオムギにおける穀粒の皮裸性の発現機構に関する分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
18580006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 真 Okayama University, 資源生物科学研究所, 教授 (40216891)
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Keywords | オオムギ / 種子 / 遺伝子 / クローニング / 皮麦 / はだか麦 |
Research Abstract |
オオムギは穀粒のタイプが2種類あり,皮麦とはだか麦に分かれる.皮麦は飼料や醸造用として使われ,はだか麦は食用に適している.我々は昨年までの研究で,オオムギの皮性と裸性の違いがERF(ethylene response factor)転写因子により決定されることを明らかにした.今年度はこの結論をさらに確認するとともに,新たな裸性を発現する突然変異体の解析を行った.まず,長野県農事試験場において六条皮麦品種ファイバースノウのアジ化ナトリウム処理で誘発された,裸性突然変異体の種子の分譲を受け,ERF転写因子の塩基配列を解析した.その結果,同転写因子のAP2/ERFドメイン内に1塩基置換(C→T)が見つかり,これにより36番目のスレオニンがイソロイシンに変化すると推定された.この突然変異体は3番目の人為誘発裸性突然変異体で,このアレルをnud1.dと命名した.次に,種子の裸性を伴うワックス突然変異体cer-zv.268の座乗染色体は不明であるので,イランの二条裸性系統OUI026との交雑F2集団を用いてバルク法とAFLP法を組合せたフィンガープリンティングを行い,標的形質と連鎖するバンドをスクリーニングした.その結果,cer-zv.268は4H染色体の動原体付近に位置することが明らかになった.さらに,類似の表現型を示すcer-yl.187およびcerym.753との対立性検定を行ったところ,これらはcer-zv.268と同座であることが明らかになった.cer-zv268遺伝子は4H染色体の動原体付近にあり,ポジショナルクローニングが困難と考えられるため,イネのゲノム情報を利用し,候補遺伝子の特定を試みている.
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