2008 Fiscal Year Annual Research Report
候補遺伝子アプローチ法によるダイズ耐冷性遺伝子の同定
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18580011
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
船附 秀行 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター低温耐性研究チーム, 主任研究員 (60370590)
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Keywords | ダイズ / QTL / 耐冷性 / DNAマーカー / 候補遺伝子 / 種子生長 / 収量構成要素 / 低温ストレス |
Research Abstract |
「トヨムスメ」(耐冷性弱)と「トヨハルカ」(耐冷性強)の交雑後代のRIL集団で同定された新規の耐冷性QTLに関して、準同質遺伝子系統群を用いて、収量構成要素に分解し検討した。すると「トヨハルカ」型のものでは低温下でも莢あたりの種子数および一粒重が維持されることから、このQTLは低温下での種子生長に関連することが示唆された。イネでは、穂ばらみ期耐冷性の遺伝解析から、種子稔性に関するQTLがいくつか同定されているが、種子生長に関する耐冷性QTLの報告は、いままでになく、新しいタイプの耐冷性遺伝子が座乗していることが推定された。さらにQTLの領域を絞り込むため、ゲノム情報を利用し、QTL近傍に14のSSRマーカーを設計したが、QTLと強連鎖するSat_162以外に多型を示すものは得られなかったことから、Sat_162の近接領域に耐冷性遺伝子が存在すると考えられた。いくつかの低温耐性との関連が報告されている遺伝子について、塩基配列や発現量を2品種で比較したが、差異はみられなかった。今後さらに検討する必要がある。また、「トヨムスメ」と「ハヤヒカリ」(耐冷性強)とのRIL集団で同定されている連鎖群C2とHのQTLについても、開花成熟期の分離の少ない集団を養成し、耐冷性を評価したところ、いずれのQTLについてもその存在が確認された。C2のQTLについては、フラボノイド代謝に関連するF3'H遺伝子であることが推定されているが、熱ショックタンパク遺伝子が隣接していたので、塩基配列を2品種で比較したところ、予想コード領域内にアミノ酸配列の変異をともなう塩基多型がみられたことから、この遺伝子も耐冷性候補遺伝子として有望であることが示唆された。
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