2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580012
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 良二 National Agricultural Research Organization, 作物研究所大豆生理研究チーム, 上席研究員 (90360445)
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Keywords | 大豆 / 早晩性遺伝子 / 赤色光受容体 / フィトクローム |
Research Abstract |
大豆は栽培地域の緯度によって適応品種が異なり、最大の子実収量を確保するため、それぞれの地域に適応した品種が栽培されている。大豆品種の早晩性は、遺伝子E1からE7によって制御されている。E4は他の早晩性遺伝子と異なり、劣性(早生)遺伝子型で種皮の品質を向上するとともに莢数を増加し、大豆品種を高緯度地域に適応させる上で有用である。本研究ではE4遺伝子を単離・解析し、大豆の開花期制御および日長感応性の分子生物学的機構を明らかにする。 本年度は、マップ情報を利用してE4遺伝子を単離し、E4遺伝子が赤色光受容体(フィトクロームA)をコードしていることを明らかにした。そして、E4遺伝子が劣性のオホーツク海沿岸地域の極早生在来種では、フィトクロームA遺伝子にレトロトランスポゾンが挿入されてフィトクロームAが機能を失っていることを見いだした。さらに、3種類の東北地方の早生在来種(釜石、机4、早生乙女)のE4遺伝子に欠失突然変異が発生しており、野生型フィトクロームは1123アミノ酸からなるが、釜石では894アミノ酸、机4では759アミノ酸、早生乙女ではわずか456アミノ酸からなり、機能を部分的に失っていることを明らかにした。さらに、それぞれの欠失変異を認識できるdCAPSマーカーを開発し、変異の発生を確認した。本研究では、大豆の早晩性遺伝子をはじめて単離するとともに、早晩性遺伝子E4に4種類の異なる突然変異が存在することを明らかにした。以上の知見は、大豆の地域適応性の生理研究および品種育成のための重要な基礎資料となる。
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Research Products
(1 results)