2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴う高夜温による水稲登熟障害の水分生理学的機構解明
Project/Area Number |
18580020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森田 敏 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (40391453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野並 浩 愛媛大学, 農学部, 教授 (00211467)
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Keywords | 細胞組織 / 植物 / ストレス / 糖 / 水分生理 |
Research Abstract |
水稲登熟期の高夜温によって発生する玄米1粒重の低下のメカニズムを水分生理の視点から解明するために,高夜温で成長が抑制される胚乳細胞の水ポテンシャルをプレッシャープローブ法で測定した.イネの胚乳細胞の膨圧をプレッシャープローブ法で測定した例はこれまで報告されていなかったが,本研究で測定可能であることを確認できた.なお,測定では穎の一部を切除して玄米を露出させる必要があるが,玄米表面が乾燥するのを防ぐために少量の水を玄米上部から継続的に滴下するなどの工夫をして測定条件をほぼ確立した.得られた主な結果は以下のとおりである. 1.開花後約1週間の玄米(生重15mg前後)の,表層から中心に向かって50〜500μmの領域からマイクロキャピラリー内に細胞溶液を吸引し,オイルに圧力をかけることでメニスカス(シリコンオイルとの境界)をキャピラリー挿入直前の位置に戻すことができ,そのときの圧力を読みとることで膨圧を測定できた. 2.膨圧は玄米表層で高く中心に近いほど低下し,玄米先端と基部で低い傾向となった. 3.高夜温区の昼(22℃)では高昼温区の昼(34℃)より膨圧が高かった。この結果は仮説と逆であったが,昼間と夜間で膨圧が逆転し,昼夜を積算すると高夜温区で膨圧が低い可能性も残されている.19年度は夜間(高夜温区では34℃,高昼温区では22℃)に測定する予定である. 4.サイクロメータ法で測定した膨圧はプレッシャープローブ法での測定値より大きかった.なお,サイクロメータで測定した水ポテンシャル,浸透ポテンシャル,膨圧のいずれについても高昼温区と高夜温区との間で差は認められなかった.これらの点については19年度もデータを蓄積し,プレッシャープローブによる測定値の違いの要因を検討する必要がある.
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