2007 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴う高夜温による水稲登熱障害の水分生理学的機溝解明
Project/Area Number |
18580020
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
森田 敏 National Agricultural Research Organization, 九州沖維濃業研究センター・暖地温暖化研究チーム, 上席研究員 (40391453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野並 浩 愛媛大学, 農学部, 教授 (00211467)
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Keywords | 細胞組織 / 植物 / ストレス / 糖 / 水分生理 |
Research Abstract |
水稲登熟期の高夜温によって発生する玄米1粒重の低下のメカニズムを水分生理の視点から解明するために、高夜温で成長が抑制される胚乳細泡の水ポテンシャルを昨年度に引き続きプレッシャープローブ法で測定した。測定は昼夜のさまざまな時刻に行った。得られた主な結果は以下のとおりである。 1.高夜温区、高昼温区いずれでも玄米乾物重が4mg付近を越える(玄米含水率で70%付近を下回る時期)と急激に胚乳細胞の膨圧が上昇した。過去に行った実験(Morita et. al.2005)における両試験区の乾物重増加推移の違いから、横軸を開花後日数に変換して図を作成すると、膨圧が急上昇する開花後日数は高夜温区が9日目、高昼温区が8日目と、明らかに高夜温区で遅く、同じ開花後8日目で比較すると高夜温区では高昼温区より明らかに膨圧が低かった。なお、これらの試験区間差は、いずれの測定時刻においても認められた。 2.高夜温区で膨圧が低くなるメカニズムの仮説としては、高夜温区では夜の光合成していない時間帯に玄米でデンプン台成を行っているために、胚乳細胞内の糖濃渡が低下し、浸透ポテンシャルの上昇を介して膨圧が低下することが挙げられる。そして、この高夜温条件での膨圧の低下が胚乳細胞の成長抑制をもたらしたと考えられた。このため、この仮説の証明の第一歩として、穂の培養実験を行い、高夜温時に培養液の糖濃度を高めることで穂重の上昇が認められるかを検討した。その結果、この条件で穂重増加速度が上昇することを認め、仮説が正しい可能性が瘤まった。 本年度は、浸透ポテンシャルの測定に至らなかったため、来年度に実施する計画としている。
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