2006 Fiscal Year Annual Research Report
木部通水機能の評価による接ぎ木親和なわい性台木系統の選抜とわい化機構の究明
Project/Area Number |
18580032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中野 幹夫 京都府立大学, 農学研究科, 助教授 (10093692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本杉 日野 京都府立大学, 農学研究科, 助教授 (10182172)
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Keywords | わい性台木 / 接ぎ木親和性 / モモ / 通水機能 / ひずみ計 / 樹液流速 / グラニエー法 / 水ストレス |
Research Abstract |
本年度は,主にインタクトな鉢植え個体での通水機能を解析した.既存のユスラウメ系統台木に接ぎ木した鉢植えの1年生モモ苗樹,すなわち接ぎ木親和性の良否を含む3品種を用いた.環境要因をモニタリングしながら,灌水を控えた水ストレス下での樹液流速と水ストレス解除後の樹液流速の回復機能を調査した.樹液流速の測定では,グラニエー法とヒートバランス法とを比較したところ,いずれも昼夜の気孔開閉に伴う蒸散速度の増減に呼応した概日リズムを示したが,前者の方が明らかに設置が容易でデータが安定していた.樹体の水ストレス状態は,デンドロメーターとひずみ計で経時的にモニタリングした.灌水前後の日には携帯式光合成・蒸散速度計やプレッシャーチャンバーでも2,3時間ごとに光合成・蒸散速度および木部水ポテンシャルを計測した.デンドロメーターやひずみ計は水ストレス状態を極めて鋭敏に検知し,蒸散が盛んな日中は幹が収縮し,夕方から夜間には回復した.土壌水分の低下によって水ストレスが加わり日中の樹液流速が次第に低下すると,幹径の概日パターンに著しい変化が生じ,夜間の回復がみられなかった.しかし,この異常パターンは灌水の翌日には正常パターンに回復した.また,樹液流速や幹径のひずみは接ぎ木親和性の良否と比較的良好に対応していた.したがって,幹のひずみを指標として水ストレス状態を把握し,接ぎ木親和な系統を選抜することは可能であると推察された.平成19年度は,接ぎ木部における通水機能のより詳細な解析と圃場レベルの計測,および台木系統の一次選抜を行う予定である.なお,土壌水分はテンションメーター,電子天秤およびTDCセンサーで計測したが,圃揚での適用には土壌水分の容積パーセントを実測した上でのTDCセンサーの適用が推奨されよう.
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