2008 Fiscal Year Annual Research Report
木部通水機能の評価による接ぎ木親和なわい性台木系統の選抜とわい化機構の究明
Project/Area Number |
18580032
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中野 幹夫 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 准教授 (10093692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本杉 日野 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10182172)
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Keywords | モモのわい性台木 / ユスラウメ / ブドウのわい性台木 / 接ぎ木親和性 / 通水性 / 幹径のひずみ / 樹液流速 / 水ストレス |
Research Abstract |
ユスラウメ実生群に接ぎ木したモモ樹に対し、かん水を控えて水ストレスを与えた。土壌水分を初めとする各種の環境測定センサーを設置すると共に、接ぎ木上部の幹にひずみセンサーを接着し、ひずみ量の変化を計測した。 再かん水直後からのひずみ量や幹径に対するひずみの回復程度の経時変化をグラフ化し、再かん水3時間および5時間後のひずみ回復度を求めた。これらの値と目視鑑定による接ぎ木親和性評価点との関係を精査したところ、一定の関係が見出せなかった。したがって、おもに樹の生育、接ぎ木部の形態、主幹や側枝の葉芽の形成など、わい性台樹として具備すべき形質に主眼を置いてユスラウメ台木系統の一次選抜を行った。300固体以上のユスラウメ実生群から25系統を一次選抜した。これらの系統については、今後、形質の安定性、他の穂木品種との親和性、増殖の難易などを検討し、選抜系統を絞り込む必要がある。なお、将来の遺伝的研究試料として接ぎ木不親和であろうと思われる数系統も保存した。関連した他の研究から、「樹液流速に基づく果樹の水分制御技術」と題して共同研究者の所属機関である広島県を通じて特許を申請中である。 ブドウのわい性台木に関する研究では、既存のブドウ台木の染色体をコルヒチンで倍化した固体群を用いた。これらの木部構造と通水性、根系の通水性、露地栽培樹の水分生理および木部樹液流速の台木間差を調査した。木部構造には違いがみられなかったが、通水性は二倍体四倍体をで大きく異なり、後者の方が小さかった。根系の水コンダクタンスにも違いがみられ、その原因は四倍体樹の根系の分布が小さいことによると考えられた。露地栽培樹では四倍体樹の方が水ストレスを受け易く、果実の糖度が用意に高かった。これらのことから、四倍体ブドウ台木系統は四倍体ブドウ品種の樹勢調整や果実品質の改善に有効な台木であると考える。
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Research Products
(3 results)