2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代数寄空間の成立要因に関する研究-日本の近代庭園にみる煎茶的文化とその地域性
Project/Area Number |
18580035
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
尼崎 博正 Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 教授 (50141502)
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Keywords | 近代庭園 / 煎茶 / 近代数寄空間 / 文人 |
Research Abstract |
本年度は、数寄空間の近代性に注目し、それが成立する過程における煎茶文化の影響と地域的な特色を実証的に解明するためこれまでの調査を整理し、必要な補足調査及びとりまとめを目的とした。 そのため(1)調査によって収集した資料の整理、調査記録の作成,(2)文献資料の整理,(3)未調査地域の補足的調査,(4)報告書の作成,の4項目を実施した。研究会にて近世以前の文化伝播ルートとこれまでの調査を検証する。(3)必要な補足調査を行う事とした。 煎茶的文化と地域性をみるうえで四国、中国、山陰、九州地域について再検証した。九州の東北、四国の西北から瀬戸内沿岸を取り上げ、愛媛から香川にかけて煎茶的文化の影響を受けたとみられる遺構を対象とし、臥龍山荘(大洲)、広瀬邸(新居浜)にて検証調査を行い、旧京極家別処万象園(丸亀)では新たな遺構の発見となった。大名庭園として名高い栗林公園(高松)については、もっぱら茶の湯として語られてきた建築及び庭園の意匠を煎茶的要素によって再検証し新たな知見を得た。山陰の山口から岡山の遺構として、旧毛利家別邸花江御殿(長屋家住宅)、久我家住宅について調査した。さらに九州にて長崎から日田、柳川にその伝播のルートを探るため大分の柳川で旧戸島家、旧立花家別処御花御殿を調査し、長崎では料亭花月にて調査を行った。「煎茶」の呼び名と共に文雅な茶を体験したのは、9世紀の初頭、空海や最澄、それに永忠といった遣唐僧、遣唐使に始まると考えられ、九州は、彼らの往還の地であっただけに、そうした先進喫茶文化の、最初の受け入れ場所でもあたった。(1)ついては、各調査地の調査票を作成し調査内容及び収集資料を整理している。(2)については(1)にて収集された新たな資料と合せて検証整理を中心に行った。これらの作業を通じて(4)の研究の全容をとりまとめ中である。
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Research Products
(5 results)