2007 Fiscal Year Annual Research Report
果実の成熟および老化過程におけるポリアミンの機能解析
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18580037
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
森口 卓哉 National Agricultural Research Organization, 果樹研究所・果柑温暖化研究チーム, チーム長 (80343945)
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Keywords | ポリアミン / エチレン / 拮抗作用 / 果実日持ち性 / ACC合成酵素 / ACC酸化酵素 / 1-MCP / MGBG |
Research Abstract |
植物組織の老化抑制に関わるポリアミンの合成経路と、逆の生理作用である植物の老化促進に関わるエチレンの合成経路が、ともにS-アデノシルメチオニン(SAM)を介して繋がっている。そのため、植物組織が老化するのか、あるいは老化が抑制されるのかという拮抗的なバランスは、基質であるSAMがどちらの経路により多く流入するか、というSAMの競合によるとする考えがある。昨年度は、成熟・老化にエチレンが関与するリンゴ('王林')果実を用い、1-methylcyclopropene(1-MCP)で処理し、エチレン合成経路を抑制した時のポリアミン合成経路への影響を解析した。そこで、今年度は、SAM脱炭酸酵素(SAMDC)の阻害剤であるmethylglyoxal bis-(guanylhydrazone)(MGBG)で'王林'の果実を処理し、ポリアミン合成経路を抑制した時のエチレン合成経路への影響について調査した。MGBG処理により、処理後直ちにエチレン生成の上昇が認められた。このことはMGBGによりポリアミン合成経路を阻害することで、SAMがエチレンの生成により多く利用された可能性を示唆していた。しかし、このような拮抗的な関係はMGBGの処理後約15日目頃までの初期から中期の段階に限られており、貯蔵後半である処理後30日以上の果実では、エチレンとポリアミン合成経路の拮抗的な関係は認められなくなった。これはおそらくは生体内のポリアミン量を一定に維持しようとするホメオスタシスの作用によると推察された。以上より、MGBG処理によるエチレンとポリアミンの合成経路は一過的に拮抗的な関係を示したが、処理後日数が経過するに従い、そのような関係は消失することが明らかとなった。
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