2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットワークモデルを用いた多年生草本観賞植物の群落光合成特性の解析
Project/Area Number |
18580038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
稲本 勝彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・寒冷地野菜花き研究チーム, 主任研究員 (50223235)
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Keywords | ユリ / 光合成 / 呼吸 / 同化箱 / 温度 |
Research Abstract |
本年は、光合成測定装置の製作と、ユリ光合成の基礎的データの収集を行った。無色透明アクリル製の開放型同化箱(長辺120cm、短辺50cm、高さ90cm)を温度4℃の冷蔵庫内に設置した。同化箱内の温度はセラミックヒータと撹拌扇を用いて調節した。光は上方および側方に設置した96Wツインチューブ蛍光管6本により供給した。植物を入れた同化箱に外気(二酸化炭素濃度380-400ppm)を導入して、同化箱入口と出口の二酸化炭素濃度差、導入空気の流量から植物の光合成ならびに呼吸量を算出した。 (1)オリエンタル系‘シベリア'では、植物体温10〜20℃で個体光合成速度が高く、それを超えると、光合成速度は徐々に低下し、30℃における光合成速度は15℃の60%程度となった(図1)。一方、個体暗呼吸速度は温度の上昇に従って増加し、Q_<10>=1.4程度と算出された。 (2)オリエンタル系‘ギロンデ'では、10℃以上で温度上昇に対して急激に個体光合成速度が低下した(図1)。30℃における光合成速度は15℃の約40%と算出された。個体暗呼吸のQ_<10>は約1.3であった。 (3)‘シベリア'、‘ギロンデ'ともに地下部呼吸速度は地温の上昇に伴って増加し、Q_<10>は前者が1.9、後者が1.3程度と算出された(図2)。地上部植物体温と地温がともに20℃となった場合、両品種とも地下部呼吸速度は花序以外の個体暗呼吸の約60%を占めることが示された。 (5)光量の光合成補償点は‘シベリア'で光合成有効放射束(PPF)が90μmol・m^<-1>・sec^<-1>、‘ギロンデ'で60μmol・m^<-1>・sec^<-1>近辺と算出された。一方、飽和点はPPF300μmol・m^<-1>・sec^<-1>以上と推察された。 (6)温度に対する光合成速度の反応の差異は、育成に用いられた原種の特性が反映しているものと推察された。
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