Research Abstract |
前年度の研究結果に基づき,ウリ類ホモプシス根腐病および果樹紋羽病の抑制に関わる機能微生物集団(ギルド)の構成要員と役割について研究を進展させると共に,それらの成果をまとめた。 ホモプシス根腐病については,前年度までに選抜した本病原菌の生育を抑制する細菌5菌株を用いて,単独で抑制作用を示す菌株と複数で抑制作用を示す菌株それぞれについて,全ての組合せ接種によりメロン苗での生物防除効果を判定した。さらに,ホモプシス根腐病菌の菌量と本病害発生抑制のメカニズムを明らかにするために,ホモプシス根腐病菌を定量的に検出できるreal-time PCR用プライマーを構築し,ウリ類宿主(スイカ,メロン,キュウリ,カボチャ)における感染性および寄生性の相違について調査した。その結果,ホモプシス根腐病菌の感染性・寄生性に宿主特異性はないが,菌株間の病原性の相違は今まで知られていた以上に大きいことが判明した。なお,これらの成果は平成20年度日本植物病理学会大会で発表した。 一方,千葉大学環境健康フィールド科学センターのリンゴ園(沼田市)およびナシ園(柏市)で発生している紫紋羽病および白紋羽病について,発生抑制に関わる微生物集団(ギルド)の調査を行った。その結果,紫紋羽病がまん延した土壌微生物群集はリンゴ園内とその周辺部で似通っていたが,健全土壌の土壌微生物群集はリンゴ園内と周辺部で大きく異なっていることが,土壌の基質資化性,全脂肪酸組成,DNA多型から推定された。なお,この成果は日本土壌微生物学会2008年度大会で発表すると共に,Soil Biology and Biochemistry誌に投稿し,40号1460-1473ページ(2008)に掲載された。
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