2006 Fiscal Year Annual Research Report
斑点米カメムシ類のイネ加害メカニズムに関わる植物香気物質の解明
Project/Area Number |
18580049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 雅敏 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (70372307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 徳光 秋田県農林水産技術センター, 農業試験場・生産環境部, 主任研究員 (60390978)
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Keywords | 斑点米 / カメムシ / 誘引 / 寄主選択 / イネ / 香気 / 寄主植物 / 嗅覚応答 |
Research Abstract |
斑点米カメムシの最重要種、アカヒゲホソミドリカスミカメの寄主植物香気に対する嗅覚応答を調査した。春〜夏にかけての好適寄主であるスズメノカタビラ香気に対する反応を、幼虫、雌雄成虫で調査した。幼虫および雄成虫はスズメノカタビラ香気に有意に誘引された。雌成虫も有意ではないが誘引される傾向が認められた。以上より、本種は寄主探索の際、寄主植物香気を利用していることが示された。そこで、本種の好適寄主とされている他の3種のイネ科雑草(オヒシバ、メヒシバ、スズメノテッポウ)香気に対する本種成虫の嗅覚応答を調査した。雌成虫はスズメノテッポウ、オヒシバの穂およびメヒシバの穂と茎葉の香気に、雄成虫はスズメノテッポウ、メヒシバの穂およびオヒシバの茎葉の香気に誘引されることが明らかになった。次にイネ香気の本種に対する誘引性を、イネの生育段階、部位別に調査した。4葉期、功穂形成期、開花期の茎葉および開花期、乳熟期、成熟期の穂について調査したところ、雌雄成虫ともに功穂形成期の茎葉に有意に誘引された。雌成虫は開花期の穂にも有意に誘引され、雄成虫は開花期の穂に有意ではないが誘引される傾向が見られた。各生育段階のイネとその時期に優占種となっているイネ科雑草の香気とを選択させたところ、雌雄成虫ともに、開花前のイネ香気よりもその時期のイネ科雑草の香気を有意に選好することが明らかになった。しかし、開花期のイネではその時期のイネ科雑草よりも同等以上に好むことが明らかになった。乳熟期、成熟期のイネでは、その時期のイネ科雑草との間に選好性の違いは認められなかった。以上のことより、雌雄成虫とも、イネ開花前はイネ科雑草の香気の方を好むが、イネが開花するとイネの香気の方を好むことが明らかになった。イネが開花すると本種が水田内に侵入するのは、イネおよびイネ科雑草香気に対する本種の嗅覚応答が大きく関与していることが示された。
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Research Products
(1 results)