2007 Fiscal Year Annual Research Report
キタドロバチーヤドリコナダニの共進化をモデルとしたパラサイト制御機構の解明
Project/Area Number |
18580056
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡部 貴美子 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林昆虫研究領域, 室長 (20353625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 俊一 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 領域長 (20353849)
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Keywords | 共生 / カリバチ / コナダニ / 寄生 / 寄生率 / アカリナリウム / 寄主特異性 |
Research Abstract |
アトボシキタドロバチのアカリナリウム発達の意義を解明するために、ハチの育房内のダニ数をコントロールしてハチ幼虫に対するダニ寄生数の影響を調べた。通常野外で見られるダニ寄生数の平均値は1ホスト当たり6.45±4.3(n=348)だった。野外で採集した巣の中のセル当たりダニ数は0〜23で、最頻値は5だった。前年の結果から、この範囲内ではハチにとってダニの寄生が繁殖成功度に対して影響を与えないものと考えられた。飼育条件下でもダニが便乗しているメスが作ったセル内の平均ダニ数は、野外の平均値と差がなかった。しかし、セル内のダニ数を40〜50頭にすると、ハチは卵から3齢程度までは通常通りの発育を示すものの、その後すなわちダニによる吸汁が始まると、発育の遅延または死亡が観察された。25QCにおける発育遅延はおよそ1日程度であった。ところが野外の気温下では数日以上の遅れになることがあった。この時は巣内の最も奥の育房の個体が羽化したときに、隣の巣口に近い個体は前蠣だった。観察の際に巣を破壊していたため実際の影響は観察できなかったが、奥の個体が脱出時には体表面が柔らかい前蝋が傷つくか、あるいは巣外に押し出される可能性が示唆された。これらのことから、ダニの過剰な寄生はハチ未成熟虫にとって有害であり、アカリナリウムがダニ個体数コントロールに寄与している可能性が強く示唆された。
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