2006 Fiscal Year Annual Research Report
水田土壌のメタン生成共生系を構成する微生物群の解析
Project/Area Number |
18580059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅川 晋 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (50335014)
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Keywords | 水田土壌 / メタン生成 / 微生物共生系 / 培養法 / 分子生態 / プロピオン酸 / 種間水素転移 / 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動 |
Research Abstract |
本研究は,水田土壌のメタン生成反応を担う微生物群の中で,メタン生成共生系に焦点を絞り,培養法と分子生態学的手法を組み合わせて,その共生系を構成する菌群の特徴と働きを明らかにすることを目的とする。水田土壌では,メタン生成古細菌と水素生成真正細菌との水素を介した種間水素転移と呼ばれる栄養共生関係に基づくメタン生成共生系が重要な役割を果たし,プロピオン酸がその主な基質の一つと考えられている。そこで,プロピオン酸を基質とした培地に愛知県農業総合試験場安城農業技術センター水田圃場(愛知県安城市)より採取した水田土壌を接種し,継代培養を行い,プロピオン酸を酸化しメタンを生成する共生系の培養液を得た。変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法により培養液中に存在する真正細菌群集を解析した。Syntrophomonasや。Syntrophobacterなど,これまでに酪酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸を分解するメタン生成共生系で知られている水面生成真正細菌群に近縁な配列は得られなかったものの,Bacteroidetesに属するProteinlphilum acetatigenesに近縁な配列が得られた。P. acetatigenesは,プロピオン酸を分解する,Syntrophobacter sulfatireduenceとMethanobacterium formicicumからなるメタン生成共生系から得られた菌株で,自身はプロピオン酸の分解もメタンの生成も行わないが,この共生系に共存することにより,プロピオン酸分解とメタン生成を促進することが明らかにされている。水田土壌のプロピオン酸分解共生系においても同様の共生的ともいえる相互作用が働いている可能性を示す結果であった。これまで,共生では二者生物間の関係が主に研究されてきたが,このような三者の微生物からなる共生的な相互作用が様々な代謝に関与しているのかもしれず,今後さらに研究を進める必要があるのではないかと考えられた。
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Research Products
(1 results)