2007 Fiscal Year Annual Research Report
微生物モデルによる動物型細胞質分裂の分子機構解明とその応用
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18580069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
足立 博之 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00211699)
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Keywords | 微生物 / 細胞質分裂 / 細胸性粘菌 |
Research Abstract |
細胞分裂は生命の本質に関わる現象であり、その分子機構解明は、生物学の重要な課題の一つであるとともに、制ガン剤の開発など応用面においても重要である。本研究では、細胞分裂過程のうち細胞質分裂に焦点を絞って分子機構解析を行っている。細胞質分裂の分子機構は、動物・微生物の細胞と植物細胞で大きく異なっているが、ヒトなど高等動物の細胞を含む動物型の細胞質分裂の分子機構を、細胞壁を持たず高等動物細胞と酷似した様式・機構により分裂する真核微生物、細胞性粘菌の単細胞アメーバをモデルとして解明している。具体的には、研究代表者らが細胞質分裂に関わることを既に見出しているIQGAP様タンパク質GAPA、新規タンパク質D411-2p等数種の細胞性粘菌のタンパク質分子について、その生理機能、生化学的機能、物理的及び遺伝学的相互作用を、特に細胞骨格との関わりを中心に、細胞骨格を通じて細胞質分裂と関連する他の細胞運動現象への関与も含めて解析している。本年度は、初年度に研究の進展が大きかったD411-2pの解析を重点的に行った。主要な成果としては、第一に、D411-2pが、細胞質分裂同様にアクチン細胞骨格の動態制御により進行する貪食作用とマクロピノサイトーシスにも関わることを遺伝子破壊株を用いた解析から、第二に、この二つの現象でそれぞれ一時的に形成される突起であるファゴシティックカップ及びクラウンの先端のF-アクチン豊富な部分にそれぞれ局在することをGFP融合タンパク質を用いた解析から明らかにした。第三に、このタンパク質が、やはりアクチン細胞骨格が重要な役割を果たすcAMP走化性運動(細胞遊走)にも関わることを変異株の遊走速度解析から明らかにした。第四に、D411-2pのアミノ酸配列上Fアクチンとの相互作用及び遺伝子相補性に必要な最小領域をそれぞれ明らかにした。
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Research Products
(3 results)