2006 Fiscal Year Annual Research Report
グリコサミノグリカン分解による連鎖球菌の宿主細胞侵入・感染機構の分子・構造生物学
Project/Area Number |
18580075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30273519)
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Keywords | 連鎖球菌 / 細胞外マトリックス / グリコサミノグリカン / ヒアルロン酸リアーゼ / 不飽和グルクロニルヒドロラーゼ / 遺伝子クラスター / 硫酸化糖 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
化膿性溶血型連鎖球菌(Streptococcus属)由来のヒアルロン酸リアーゼ(HLY)は、宿主細胞外マトリックスであるグリコサミノグリカン(GAG)を不飽和オリゴ糖に分解し、菌の侵入に重要な役割を有することが示唆されている。これまでに、Bacillus属細菌GL1株においてGAG不飽和オリゴ糖を分解する不飽和グルクロニルヒドロラーゼ(UGL)の構造と機能を明らかにしてきた。本研究では、連鎖球菌における宿主細胞への侵入・感染機構を明らかにするため、連鎖球菌のGAG分解系酵素の構造と機能を解析した。 UGLと相同性を示す機能不明タンパク質が、種々の連鎖球菌ゲノムにコードされていることを見出した。S.pneumoniaeでは、HLYとUGL遺伝子が近傍に位置することから、これらの遺伝子がGAG分解に関わる遺伝子クラスターを形成することが予想された。大腸菌で発現させた連鎖球菌UGLホモログは、多糖リアーゼ反応により生じたGAG(コンドロイチン、ビアルロン酸)不飽和2糖を単糖に分解した。これは、連鎖球菌においてHLYとUGLホモログが協調して宿主細胞外マトリックスを分解することを示す。抗UGLホモログ抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、連鎖球菌はGAGの存否に拘わらずUGLホモログを構成的に発現することが示された。連鎖球菌UGLホモログは、既知のBacillus由来UGLと異なり硫酸化GAG不飽和糖にも作用した。そこで、X線結晶構造解析により、連鎖球菌UGLホモログがBacillus由来UGLと比較して硫酸基を許容する活性部位構造を持つことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)