2007 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌レスポンスレギュレーターDegUと標的遺伝子プロモーターとの相互作用の解析
Project/Area Number |
18580082
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小倉 光雄 Tokai University, 海洋研究所, 教授 (80204163)
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Keywords | 枯草菌 / 2成分制御系 / 走化性 / DNA結合 / リン酸 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
枯草菌のレスポンスレギュレーターDegUと対になるセンサーキナーゼDegSは、いわゆる2成分制御系を構成している。非リン酸化型DegUとDegSによってリン酸化されたDegUは多くの遺伝子発現を正および負に調節している事が知られている。リン酸化型DegUは120以上の遺伝子発現を制御している事が既に我々の研究で明らかにされているが、非リン酸化型DegUの標的は、外来DNA取り込みとそれに伴う遺伝子組み換えの中心的制御因子をコードするcomKしか知られていない。本研究で、鞭毛と走化性に関わる遺伝子多数が長大な(26Kb)オペロンに構成されているfla/cheが、非リン酸化型DegUによって正に制御されている事を見いだした。DegUのfla/che転写における効果は、fla/cheの正の制御因子として知られているswrAが野生型であるときに顕著であった。ちなみに、swrAはいわゆる実験室菌株ではフレームシフト変異を起こしている事が知られており、この事が実験室菌株がswarming motilityを有せず、野外型枯草菌がこの活性を持つ原因である。DNase1を用いたfootprint実験で、非リン酸化型DegUはfla/cheの制御領域に存在する2カ所の配列(BR1;binding region 1 と BR2)に結合した。両方の配列ともcomKでのDegUの結合配列と同様に、DegU認識配列であると我々が主張している配列GNCATTTAの逆向き繰り返し配列であった。興味深い事に、BR1へのDegUの結合はリン酸化していないときのみに観察され、DegSによりDegUをリン酸化するとBR1への結合が解除された。BR2にはこの傾向は見られず、リン酸化の有無にかかわらず結合が観察された。さらに変異LacZ融合体を用いた解析により、BR1がDegUによる正の制御に非常に重要である事、およびswrAのfla/cheに対する正の制御効果はDegUのfla/cheに対する結合を必要とする事がわかった。この事から、何らかの形でSwrAがDegUとfla/cheの結合に関係している事が想像された。
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