2006 Fiscal Year Annual Research Report
退縮初期の乳および乳腺からの新規生体防御因子のプロテオミクス的同定と機能解析
Project/Area Number |
18580090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
灘野 大太 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (00228074)
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Keywords | 生体機能利用 / 生体防御 / 網羅的解析 / 乳腺 / 退縮 / マウス |
Research Abstract |
乳腺は妊娠を期に、組織の増殖、出産後の乳汁分泌のため分化、ならびに離乳によって引き起こされる退縮期のサイクルを繰り返す。泌乳期までの発達段階については、調節に関わる多くの遺伝子産物が同定されているが、退縮期においてはあまり知られていない。蛍光ディフアレンシャル・ディスプレイ法によってマウス乳腺の退縮初期に高発現する遺伝子をスクリーニングし、得られた候補遺伝子についてそれぞれポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による発現確認を行った結果、7種類の遺伝子が、泌乳10日目に対し退縮2日後において発現上昇することが明らかとなった。これら遺伝子の翻訳産物が有する役割のひとつとして、一時的に酸化ストレスやバクテリアの感染症等を受けやすくなる退縮期における、乳腺組織の防御が推定された。次に、上記にしたがって同定された遺伝子のうち、それらの遺伝子産物が乳汁へ分泌されることが推定された遺伝子について、タンパク質レベルでの発現を調べた。泌乳期と退縮初期にマウス乳汁を採取し、免疫ブロッティングによる解析、また質量分析法(タンデム質量分析を含む)による同定を行った。その結果、これらは、泌乳期乳汁に比べ退縮期乳汁において発現が明らかに増加し、・退縮期乳汁において主要タンパタ質として存在することが分かった。対照的に、カゼイン、乳清酸性タンパタ質を含む多くの乳汁タンパク質の含量に変動は見られなかった。また、この解析過程で、退縮初期において速やかに乳汁から失われる複数のタンパク質を見出し、それらの同定にも成功した。上述のタンパク質が協同して泌乳期後における乳腺の保護に機能していると考えられる。
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