2007 Fiscal Year Annual Research Report
退縮初期の乳および乳腺からの新規生体防御因子のプロテオミクス的同定と機能解析
Project/Area Number |
18580090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
灘野 大太 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00228074)
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Keywords | 生体機能利用 / 生体防御 / 抗酸化活性 / 乳腺 / 退縮 / 乳清 / プロテオミクス / 乳癌 |
Research Abstract |
乳腺は哺乳類に特有の組織であり、妊娠を機に発達し、出産後乳汁を合成・分泌するようになる。その後、子の離乳により組織の退縮が進み妊娠前の状態に戻る。乳腺は妊娠の度にこのサイクルを繰り返すという興味深い組織である。昨年度の研究によって、泌乳期(泌乳10日目、L10)および退縮期(退縮誘導2日後、I2)のマウス乳腺に発現するタンパク質の比較解析を行ったところ、退縮期の乳腺には抗菌活性および抗酸化活性をもつタンパク質が高発現していることが示唆された。この結果を受けて、泌乳期と退縮期の乳汁タンパク質の比較解析を詳細に進めた。特に、構成タンパク質が多様な乳清画分を中心に比較解析を行った。また、併せて乳癌関連タンパク質についての解析も進めた。L10およびI2の乳汁を搾取した後、遠心分離により乳清画分を調製した。その後一次元および二次元電気泳動によりそれぞれの乳清タンパク質を分離し、銀染色により両者の泳動パターンを比較した。その後、L10およびI2の乳清画分に含まれるタンパク質を質量分析(MALDI TOF/MS)によって同定した。一次元または二次元電気泳動を用いて乳清画分を分離した際に確認されたおよそ100ヶ所のバンドまたはスポットを網羅的に同定した。その結果、L10に比べてI2の乳清画分中の各種プロテアーゼインヒビターおよびプロテアーゼの量が大きく変化していることが示された。また、生体防御に関与するタンパク質の量にも変化が見られ、自然免疫に関与する因子および抗酸化活性酵素がI2の乳清画分中に多く含まれることがわかった。よって、L10に比べてI2の乳汁の抗菌活性および抗酸化活性が高くなっているという本研究の前年度の結果がタンパク質レベルで支持された。
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