2006 Fiscal Year Annual Research Report
様々な生物活性を有するアルカロイド類の系統的な合成と生物有機化学的研究
Project/Area Number |
18580104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
真壁 秀文 信州大学, 大学院農学研究科, 助教授 (90313840)
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 生理活性 |
Research Abstract |
含窒素天然有機化合物(アルカロイド類)は顕著な生理活性を示す化合物が数多く知られており,大変魅力的な化合物群である。これらのアルカロイドは自然界からの供給が限られているため,生物活性発現のメカニズムの解明や医薬品への応用といった研究が遅れている。このような観点から本研究では様々な生理活性発現のメカニズムの解明や活性酸素抑制のメカニズム解明のための分子プローブの創製を目的に2,6-2置換ピペリジンアルカロイド類の効率的な成法を確立することを目的とした。具体的な合成方法はPdなどの有機金属を駆使して触媒的に立体化学を制御して合成するという将来工業化をにらんだ合成経路を開発することにした。 1.2,6-trans-ピペリジンアルカロイドの合成 Spectamine A(1)のような2,6-trans-ピペリジンアルカロイドの合成は2,6-cis体よりは困難とされている。申請者らはspectamine Aの形式的全合成を達成してはいるが2価のPdによる2,6-trans-ピペリジン環形成反応においてその選択性はtrans:cis=5:2とまだまだ改善の余地がある。この課題を克服するために触媒のデザインが必須であり立体障害の大きな配位子であるtri-tert-butyl phosphinetri-tert-butyl phosphineやなどを用いて反応を行ったが反応性が低かった。従って方針を変更し,嵩高いアリルエステルを調製し種々の環化反応に供したところ収率は改善の余地があるものの選択性は良好であった。今後反応の最適化を行いspectamine A(1)の全合成を行う予定である。 2.立体選択的なテトラヒドロピランの構築とバンレイシ科アセトゲニンのpyranicinの合成 Pyranicinは400を超えるアセトゲニン類の中でもわずか8種しかないTHP型アセトゲニンの一種である。本研究では2価のPdを用いた選択的なピペリジン環構築の知見を活かしてこの反応をテトラヒドロピランの立体選択的な構築に応用した。(-)-Mudcatacinより数工程で得られるビフェニルエステルに対しCl_2Pd(CH_3CN)_2を用いて環化反応を行ったところ93:7の選択比で望む2,6-cis体のテトラヒドロピラン環を得た。これより数工程でpyranicinの全合成を達成した。
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