2006 Fiscal Year Annual Research Report
有用物質の効率的化学合成に向けた、新規酵素触媒反応の探索と応用
Project/Area Number |
18580106
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須貝 威 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (60171120)
|
Keywords | 有機化学 / バイオリアクター / 酵素 / 応用微生物 |
Research Abstract |
本課題期間では、生体内で重要な情報伝達を担う生物活性天然有機化合物、複合糖質関連化合物を主たる標的物質とし、天然界から動植物の生物生産によって容易かっ大量に得られる原料や発酵生産産物などに出発原料を求め、資源効率のよい合成を試みた。合成の鍵段階は、新しい機能、特色を持つ酵素(生物資源触媒)反応であり、これを探索開拓した。本研究には、酵素触媒の基質の分子設計、および新規酵素のスクリーニングという両方の側面が重要であった。具体的には、「立体障害が非常に大きいカルボニル化合物を不斉還元する微生物酵素の探索と応用」に、以下のような成果を得た。カルボニル基にイソプロピル基、そして芳香環を有する側鎖が置換した基質を設定し、これを不斉還元する微生物酵素の探索を計画した。この化合物は、立体障害が大きく還元酵素の作用を受けにくいと推察されるため、スルポニル基を導入した。電子求引性の置換基を導入することにより還元を促進、さらに、反応進行および生成物の鏡像体純度分析を容易とする効果を期待した。この基質を用いたスクリーニングにより良好な反応選択性、立体選択性を示す微生物菌株4種が得られたので、不飽和ケトン、ジケトン、分子の深い内部にカルボニル基が位置するケトンなど、関連する基質の還元を試みた。4菌株のうちP.minutaは、イソプロピル基にとどまらず、立体障害が大きい鎖状ケトンを不斉還元しアルコールを与えた。得られたキラルシントンは、十員環ラクトン天然物、modiolide Aの合成に利用した。フェニルスルポニル基を、イソプロピルカルボニル基で置き換えると、3菌株でモデル基質と同じ傾向の立体選択性が観察されたが、P.angustaでは逆転していた。この際、還元はカルボニル基のうち一方が還元されたヒドロキシケトンで停止し、さらに還元が進行したジオールの生成は確認されなかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Screening, substrate specificity and stereoselectivity of yeast strains, which reduce sterically hindered isopropyl ketones2006
Author(s)
C.Hiraoka, M.Matsuda, Y.Suzuki, S.Fujieda, M.Tomita, K.Fuhshuku, R.Obata, S.Nishiyama, T.Sugai
-
Journal Title
Tetrahedron : Asymmetry 17
Pages: 3357-3368
-
-
-