2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧反応条件の汎用性拡張を目指して-保護基の導入・除去への応用-
Project/Area Number |
18580108
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松尾 一郎 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (40342852)
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Keywords | 超高圧 / ペプチド合成 / N-アルキルアミノ酸 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
超高圧反応条件を用いた有機合成反応は常圧では困難な反応への応用が主であった。本研究では、超高圧反応の汎用性拡張を目的として、保護基の導入および除去反応、エステル化やアミド化反応などの一般的な合成反応に対して超高圧反応条件を積極的に利用、超高圧反応の有効性を示すことを目的とした。本年度は、超高圧条件下、アミド結合形成反応における溶媒効果の検討および、常圧下合成困難なN-アルキルアミノ酸の縮合反応に挑戦した。1)超高圧条件下の溶媒効果の検討: アミノ酸メチルエステルとアミノ酸ベンジルエステルとの8000気圧下におけるジペプチド合成を、反応溶媒として極性溶媒、非極性溶媒およびプロトン性溶媒を用いて行った。その結果、プロトン性溶媒が最も効率よくジペプチドを与えることが明らかとなった。また、極性溶媒>非極性溶媒の順に生成量が低下した。以上のことより、超高圧下ジペプチド合成において溶媒の選択が重要であることが明らかとなった。2)超高圧条件下におけるN-アルキルアミノ酸の縮合反応: アミノ酸フルオリドに対してN-エチルアミノ酸の縮合反応を超高圧条件下行った。その結果、常圧ではほとんど生成物が得られなかったのに対し、超高圧条件下(8000気圧)では目的のジペプチドが収率よく得られた(74-92%)。一方、超高圧反応下、2-5%程度のジペプチド異性体の生成を確認した。MSおよびX-線結晶構造解析により、C末端がラセミ化していることが明らかとなった。以上の結果より、一部エピメリ化など問題があるが、合成困難なN-アルキルペプチドが、超高圧条件を利用することにより常圧下の反応に比べて10倍以上の収率で得られることが明らかとなった。
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