2006 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド形成抑制の分子論的基盤:オボアルブミン重合体における分子間β構造の役割
Project/Area Number |
18580119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 延行 京都大学, 農学研究科, 助手 (20252520)
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Keywords | 蛋白質 / 痴呆 / 脳・神経 / 食品 / 生体分子 / オボアルブミン / アミロイド / コンフォメーション変化 |
Research Abstract |
プリオン病(狂牛病、クロイツフェルト・ヤコブ病)や、アルツハイマー病は、生体の持つ正常タンパク質がコンフォメーション変化を起こして病態を呈することから、コンフォメーション病と呼ばれている。これらに共通する特徴としては、原因タンパク質がコンフォメーション変化を起こし、別の分子とβシート構造を形成して重合することにより凝集体を形成して組織への沈着を起こすことがあげられる。これらの病態を治療、予防するには、このコンフォメーション変化の原因を明らかにすることが重要であるが、実際の病理変化は長期間にわたるものであり経過観察が難しいため、タンパク質科学的なアプローチが必要となる。本研究では遺伝的分子異常等によりタンパク質重合体が組織沈着を引き起こし、典型的なコンフォメーション病の原因となるセリンプロテアーゼインヒビターと相同性の高い卵白タンパク質、オボアルブミンの分子重合プロセスの詳細を明らかにすることにより、病的な分子重合を抑制する方策の開発に資することを目的としている。 本年度は、定速昇温過程におけるオボアルブミンおよびその変異体の変性・重合過程をモニターする方法を検討し、セリンプロテアーゼインヒビターおよびオボアルブミンの立体構造をもとに設計した変異体W184FR339TA352Rを用いて、コンフォメーション変化の特性を調べた。オボアルブミン等、試料の変性は、遠紫外波長領域におけるCDスペクトルの測定により解析し、重合体形成は、動的光散乱法による粒度分布測定により行った。その結果、立体構造の消失と重合体の形成に伴い、わずかのβ構造形成を示唆するデータが得られた。次年度は、これを確認するためにさらにアミロイド染色や電子顕微鏡観察を行うとともに、他のセリンプロテアーゼ分子のアミノ酸配列を導入したキメラ分子を作成し、コンフォメーション変化と凝集体の形成過程を解析したいと考えている。
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