2008 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸の肥満抑制および2型糖尿病予防効果に関する研究
Project/Area Number |
18580128
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 広美 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 准教授 (70254563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 眞順美 岡山県立大学, 教授 (40108866)
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Keywords | 肥満 / 酢酸 / 脂肪代謝 / 2型糖尿病 / 脂肪合成 / AMPK / 機能性食品 / 筋管細胞 |
Research Abstract |
昨年までの研究で酢酸には脂肪合成に関わる遺伝子の転写を制御する因子ChREBPの転写活性を阻害する作用があり、酢酸摂取が余剰脂肪の合成と蓄積を抑制し、2型糖尿病を改善することを明らかにした。また酢酸は骨格筋にも取り込まれ、AMPKを活性化すると共にミオグロビンおよびGLUT4の発現量を増加させることが示唆された。本年度の研究は、培養細胞を用いた、筋芽/筋管細胞および脂肪細胞における酢酸の影響についてそのメカニズムに焦点をあてて検討すること、さらに脂肪細胞における酢酸の影響について検討した。まず、酢酸によりAMPKのリン酸化が促進すると転写因子MEF2Aが活性化されるかどうかを調べたところ、添加した酢酸の濃度依存的に核内にMEF2Aが増加した。またゲルシフト分析によりMEF2AのDNA結合活性を測定すると、酢酸の添加により活性が増加した。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いてMEF2Aの細胞内局在を観察すると、酢酸添加によりMEF2Aの局在は核内に移行した。一方、AMPKのリン酸化に伴い、eNOSのリン酸化も促進していた。eNOSのリン酸化およびMEF2Aの活性化は共に、eNOS阻害剤であるL-NAMEにより阻害された。筋管細胞における糖取り込み量、脂肪酸取り込み量および脂肪蓄積量を測定したところ、酢酸を添加した細胞では糖取り込みの増加、脂肪酸取り込みの増加および脂肪蓄積の低下が見られた。酢酸添加により脂肪燃焼や糖取り込み活性が増加していると考えられた。酢酸はAMPKの活性化を介してeNOSおよびMEF2Aを活性化させ、ミオグロビンやGLUT4の発現を増加、さらに脂肪代謝を促進すると示唆された。培養13日目の3T3-L1脂肪細胞に酢酸を添加すると酢酸の吸収が見られた。酢酸が吸収されると細胞内ではAMP/ATP比が増加したことから、脂肪細胞においても酢酸が吸収されAMPKが活性化されることが示唆された。細胞内では、IL6、iNOS、MCP-1、MCP-3など炎症性サイトカイン遺伝子の発現が低下していた。酢酸は脂肪細胞への作用を介して動脈硬化抑制効果をもたらすと示唆された。
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