2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品因子による炎症、アディポサイトカインを標的とするメタボリックシンドローム予防
Project/Area Number |
18580133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
津田 孝範 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (90281568)
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Keywords | メタボリックシンドローム / アディポネクチン / 脂肪細胞 / 食品因子 |
Research Abstract |
わが国の肥満を起因とするメタボリックシンドロームの急増に対してその予防は、国民の健康維持の点から最重要な課題である。本研究では、この課題克服のために、医薬品による個々の病態治療ではなく、食品因子による炎症抑制、アディポサイトカインの発現・分泌制御と作用機構解明を行い、このような脂肪細胞機能の正常化を介したメタボリックシンドロームの予防を実現するための科学的基盤の確立を目的とした。 マウス3T3-L1脂肪細胞を利用して脂肪組織の炎症のモデルとして、TNFα投与により、アディポネクチンの遺伝子発現低下と食品因子による抑制作用を評価できる系を構築した。具体的には、食品因子を前処理した後TNFαの投与によるアディポネクチンの正常化をリアルタイムPCRによる遺伝子発現量で評価することで可能であった。ポジティブコントロールとしては、糖尿病治療薬でこれらのアディポサイトカイン発現を正常化するチアゾリジン誘導体であるトログリタゾンを用いた。この細胞モデルを利用して種々の食品因子について検討したところ、アントシアニンや大豆イソフラボン、ショウガ中の成分などにTNFαにより誘導されるアディポネクチンの発現低下を抑制する効果が認められた。この中でアントシアニンについては、脂肪細胞における作用を更に解明するために、応答遺伝子をDNAマイクロアレイを用いて検討した。細胞としてはヒト成熟脂肪細胞を用い、アントシアニンの投与による遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、アントシアニンは、アディポネクチンの遺伝子発現を上昇させるのに対して、炎症に関与し、肥満や糖尿病態においてその発現や血中濃度が上昇することが知られているPAI-1やIL-6の遺伝子発現レベルを有意に低下させた。以上の結果からアントシアニンのアディポサイトカイン発現制御作用が明らかになった。
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