2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品因子による炎症、アディポサイトカインを標的とするメタボリックシンドローム予防
Project/Area Number |
18580133
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
津田 孝範 Chubu University, 応用生物学部, 准教授 (90281568)
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Keywords | メタボリックシンドローム / アディポネクチン / 脂肪細胞 / 食品因子 |
Research Abstract |
わが国の肥満を起因とするメタボリックシンドロームの急増に対してその予防は、国民の健康維持の点から最重要な課題である。本研究では、この課題克服のために、医薬品による個々の病態治療ではなく、食品因子による炎症抑制、アディポサイトカインの発現・分泌制御と作用機構解明を行い、このような脂肪細胞機能の正常化を介したメタボリックシンドロームの予防を実現するための科学的基盤の確立を目的とした。 マウス3T3-L1脂肪細胞を利用して脂肪組織の炎症のモデルとして、TNFα投与により、アディポネクチンの遺伝子発現低下と食品因子による抑制作用を評価できる系を構築した。具体的には、食品因子を前処理した後TNFαの投与によるアディポネクチンの正常化をリアルタイムPCRによる遺伝子発現量で評価することで可能であった。この細胞モデルを利用して種々の食品因子について検討を行った。その中で、前年までの成果からアントシアニンの脂肪細胞に対する作用を明らかにしており、アディポネクチンの発現上昇を見出している。そこで、アントシアニン(シアニジン3-グルコシド:C3G)を用いて2型糖尿病モデルマウスにおける糖尿病抑制効果を検討した。その結果、C3G摂取群では有意な血糖値低下、インスリン感受性を上昇させ、糖尿病抑制効果が認められた。このメカニズムを検討したところ、アディポネクチンの発現上昇は認められず、別の作用機構によると考えられた。検討した結果、C3Gの摂取は白色脂肪組織のGlucose transporter4の発現を上昇させ、このことが脂肪組織のRetinol binding protein4の発現低下を引き起こすことで肝臓糖新生系酵素の発現低下を引き起こし、その結果血糖低下作用を示すことが明らかになった。
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