2007 Fiscal Year Annual Research Report
マツ枯れ後の海岸林の植生回復過程と将来の樹林目標に関する研究
Project/Area Number |
18580152
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉崎 真司 Musashi Institute of Technology, 環境情報学部, 教授 (50318622)
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Keywords | マツ枯れ / 海岸林 / 広葉樹林 / 植生回復 / 防災機能 / 樹林目標 / 遠州灘 / 湘南海岸 |
Research Abstract |
1.研究の目的 松枯れ後の海岸林内の植生がどのように変化してきたのか,また広葉樹がどのような経過を経て侵入・定着するのかという植生遷移の方向を明らかにすることで,防災機能や保健機能の高い海岸林のあり方を明らかにする。 2.平成19年度の研究実施計画に基づく成果(1)現地調査1(遠州灘)海岸林の成立条件として人工斜砂丘の風衝面(南側斜面)と風背面(北側斜面)を対象として,光環境,土壌水分,土壌のpHなどについて調査した結果,立地条件や種組成にも特長があることがわかった。また,地元住民との現地検討会を開催した結果,現在でもマツ枯れ被害が西から東へ蔓延していること,松枯れ後の樹林目標についても見通しがたっていないことが聞き取れた。(2)現地調査2(湘南海岸)海岸林の存在の有無による飛来塩分量の把握を行うために,沿岸住宅地の庭木や街路樹に付着している塩分を指標として,飛塩量分布図を作成した。その結果,海岸林が途切れる場所において飛来塩分量の増加が認められた。住宅や道路が分布を複雑にしていることも示唆された。また,海岸林管理後の年数による林分構造を明らかにするために調査を行った結果,林冠を構成する種に萌芽由来の個体が多く,それらの成長は実生由来のものよりも早かった。その結果から,研究対象地の海岸林が主に萌芽更新に基づいて成立している実態を明らかにすることができた。(3)日本海岸林学会での発表 平成19年11月23日から25日にかけて開催された日本海岸林学会静岡大会において,3編の口頭発表,3編のポスター発表を行った。 3.今後の研究の展開 樹林タイプが異なるモデル林を整備して,広葉樹による海岸林の造成手法を検討するとともに,広葉樹海岸林の海岸防災林としての有効性評価と地域景観・地域住民評価を実施することで,松枯れ後の樹林の在り様を提案したい。
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Research Products
(7 results)