2008 Fiscal Year Annual Research Report
窒素および炭水化物の貯蔵機能の評価に基づくブナ林堅果の豊凶作のメカニズムの解明
Project/Area Number |
18580155
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
韓 慶民 Forestry and Forest Products Research Institute, 植物生態研究領域, 主任研究員 (40391180)
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Keywords | 結実豊凶作 / 生理的統合 / 炭水化物 / 窒素 / 光合成 |
Research Abstract |
ブナの結実豊凶メカニズムを解明するために、昨年に引き続き、異なる標高(550、900、1500m)に生育しているブナ林を対象として、2008年の葉・枝・幹・根各器官における炭水化物・窒素濃度の季節変化を測定し、以下のことを明らかにした。(1)各器官における窒素濃度の経年変化:2005年の豊作後、休眠期の枝の窒素濃度は、2006、2007年には増加していたが、2008年には増加が見られなかった。(2)各器官の非構造性炭水化物濃度の経年変化:休眠期における枝・幹・根の非構造性炭水化物濃度は、2006、2007年に増加したが、2008年には増加が見られなかった。(3)リター量の経年変化:豊作年と比べ、2006年のリター量は減少したが、2007、2008年には増加した。(4)結実による樹体内貯蔵機能への影響:個体レベルの窒素と炭水化物の貯蔵量は豊作年以降年々増加していた。このことから、ブナの豊作はこれら資源の体内貯蔵機能に依存していることが検証された。結実の前年に花芽が分化されることが分かっており、今後、次の豊作年まで継続測定を行うことによって、豊作の誘導に必要な樹体内窒素と炭水化物貯蔵量の閾値を解明できるであろう。また、窒素資源の樹体内再蓄積には土壌から窒素供給も重要であることが本研究からわかった。
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Research Products
(5 results)