2006 Fiscal Year Annual Research Report
スギ林「切り捨て間伐」が森林生態系の窒素動態に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
18580156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
金子 真司 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 室長 (80353647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 敬三 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (80370287)
山中 高史 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, チーム長 (00343799)
野口 享太郎 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (70353802)
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Keywords | 切り捨て間伐 / 窒素動態 / 粗大有機物 / リター / 有機物分解 / 窒素無機化 |
Research Abstract |
本研究は、切り捨て間伐が森林生態系の窒素動態に及ぼす影響を解明することを目的とする。試験地は茨城森林管理所管内の40年生のスギ人工林(森林総合研究所桂試験地、茨城県東茨城郡城里町)である。このスギ林では2003年12月に材積率25%の「切り捨て間伐」を行っている。本年度は試験地林内におけるスギ材試料片とスギ緑葉リターバッグの分解過程について調査を行った。 1.スギ林内に設置してあるスギ材試料片を回収して材密度(堆積と重量から推定)を測定した結果、斜面位置(斜面上部、下部)および材の径(<10,10-15,15-20,20-30cm)に関係なく、30ヶ月(2年6ヶ月)間における材密度の変化は認められなかった。このことから間伐後2年6ヶ月間ではスギ材(幹部)の分解はほとんど進行しないことが明らかになった。 2.切り捨て間伐によって林内に放置される枝条についた緑葉は、地面に接するものと接しないものがあるので、スギ緑葉リターバッグを地面に接地(地表に接して置いたもの)と非接地(バッグをワイヤで地面に接しないよう空中に吊り下げたもの)で分解試験を行った。その結果、6ヶ月間の重量減少率は接地、非接地のいずれとも約40%で違いはなかったが、残存緑葉の窒素含有率は開始前の1.2%から接地では2.4%に、非接地では2.1%に増加し、接地の方がやや増加率が大きかった。6ヶ月後の残存緑葉の窒素固定能をアセチレン還元法によって調べたところ、いずれも窒素固定活性が認められたが、接地の方が非接地に比べて大きかった。以上より、切り捨て間伐時に林内に放置される枝条の緑葉は短期間に分解するとともに、窒素が外部から取り込まれ窒素濃度が高まることが推察された。
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Research Products
(3 results)