2008 Fiscal Year Annual Research Report
スギ林「切り捨て間伐」が森林生態系の窒素動態に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
18580156
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
金子 真司 Forestry and Forest Products Research Institute, 立地環境研究領域, 室長 (80353647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 敬三 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, グループ長 (80370287)
山中 高史 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, チーム長 (00343799)
野口 享太郎 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (70353802)
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Keywords | 切り捨て間伐 / 窒素動態 / 粗大有機物 / リター / 有機物分解 / 窒素無機化 |
Research Abstract |
本研究は切り捨て間伐によって林内に放置される枝条の分解によって放出される窒素の動態を明らかにすることを目的とする。本年は昨年に引き続き、スギ緑葉リターの分解試験を行い、分解率、窒素濃度、窒素固定速度を調べた。 1.スギ緑葉リターの重量変化から分解速度を計算した結果、設置後1年間の分解速度は接地区(リターバッグを地面に接して設置した区)と非接地区(リターバッグをワイヤで吊して地面から離して設置した区)とも設置後6ヶ月が大きく6ヶ月〜1年間は分解速度は低下するが、設置後1年間の分解速度接地区と非接地区とに有意な差は認められなかった。しかし2年目になると接地区の分解速度は非接地区のそれに比べて有意に大きかった。接地区は非接地区に比べて湿潤な状態にあり、生物的な分解を受けやすい条件下にあった。にもかかわらず両区で分解速度に差がなかったことは、1年目までの重量減少がリターからの溶脱や脱落が主体であることを示唆する。2年目の接地区で分解速度が高かったことは、この時期に有機物の無機化が始まることを意味する。 2.スギ緑葉リターの窒素濃度は、設置から6ヶ月後にかけて接地区、非接地区とも増加した。6ヶ月後の窒素濃度は接地区が非接地区に比べて高く、両区ともその後の窒素濃度の変化は小さかった。生物窒素活性は接地区と非接地区とも6ヶ月後にピークになり、1年目には両区とも低下し、2年目には両区とも窒素固定活性はほとんど検出されなかった。両区の窒素固定活性を比べると、接地区が非接地区に比べて高かった。以上より、生物窒素固定の違いが接地区で窒素の濃度上昇が大きかった一因になっていると考えられる。
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Research Products
(5 results)