2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅村 研二 Kyoto University, 生存圏研究所, 助教 (70378909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 秀一 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00135609)
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Keywords | キトサン / タンニン酸 / メイラード反応 / 還元糖 / 天然接着剤 / 木材接着 |
Research Abstract |
本年度は(1)キトサンとタンニン酸との相互作用に及ぼす熱処理の影響、(2)キトサンと単糖との反応性、(3)キトサンの接着性能に及ぼす単糖の添加効果、について検討を行った。それぞれの概要を以下に記す。 (1) 昨年度と同様のキトサンとタンニン酸を使用し、室温下、キトサンとタンニン酸を所定の割合で希酢酸に溶解させ、50℃で乾燥させてフィルムを得た。その後、熱処理を130℃15分施し、フィルム特性について検討した。その結果、フィルムの重量増加は熱処理を施さないもの(未処理)と同等の値を示した。しかし、遊離アミノ基量は未処理のフィルムよりも全般に低い値を示し、いずれのフィルムも希酢酸に対して50〜70%の不溶性を示した。この熱処理による物性変化に関し、タンニン酸の分解によるグルコース生成の影響が考えられたが、実験の結果、この熱処理条件でのグルコースの生成は認められなかった。また、FT-IRの結果から熱処理によりキトサンとタンニン酸がシッフ塩基を形成することが推察された。(2)本年度はキシロースやマンノース、グルクロン酸との反応性について検討した。その結果、これらの単糖を添加するとグルコースと同様にキトサンはメイラード反応を起こすことが確認された。また、20wt%のこれら単糖の添加で容易に希酸不溶性となり、フィルムの引張特性も向上することが見出された。(3)分子量の異なる4種類のキトサンを用い、グルコースとの反応性を検討するとともに、これらの接着特性について調べた。その結果、キトサンの分子量に関わらず遊離アミノ基、希酸への不溶化率などはグルコース添加に対してほぼ同程度の値を示すことが明らかとなった。フィルムの引張特性は高分子キトサンほどグルコースの添加量に対して大きく低下することが観察された。接着性は、比較的低分子のキトサンで優れた性能を示し、グルコース添加による耐希酸性の付与も認められた。
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