2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA鑑定技術による迅速な毒きのこ中毒診断システムの開発
Project/Area Number |
18580164
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
会見 忠則 Tottori University, 農学部, 教授 (90264928)
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Keywords | 毒きのこ / 調理 / PCR / きのこの同定 / DNA鑑定 / きのこの種 / DNAデータベース / きのこの形態 |
Research Abstract |
本研究では,形態では識別不可能なきのこの同定をDNAレベルで行うための基礎的な研究を行った.その概要は,以下の通りである. まず,ホンシメジを材料として,単胞子分離が困難なきのこの生物種の検定方法を開発すると共に,その生物種を推定するのに適した遺伝子の探索を行ったところ,ミトコンドリアSSUのV4領域の塩基配列の比較が,適当であることが分かった. 続いて,加工調理したきのこにDNA鑑定が適用可能かどうかを調べるため,市販の生のきのこ,缶詰のきのこ,レトルト包装されたきのこを調理して,そこからDNAを抽出し,PCRを行った.その結果,缶詰やレトルト包装きのこを調理した場合でも,250bp程度までの断片であれば,増幅可能であることが分かった. 最後に,日本における毒きのこによる食中毒で発生件数の内原因となるきのこがわかっているもの77%を占める、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、ドクササコ、カキシメジについて、シークエンスなどの時間を省略するため種特異的なプライマーを設計し、それによるPCRでこれら4つの種を特異的に検出する方法を開発した。またPCRはPCRやPCR後の電気泳動に掛かる時間を短縮するため、リアルタイムPCRを用いて行った。その結果,毒きのこの中毒の原因となるきのこを1時間30分と迅速に同定する方法を開発した。また一回の反応も50円程度にコストダウンすることができた。これらの技術は、毒きのこによる中毒が起こった時のような救急医療の現場で、原因となるきのこの迅速で安価な同定のほか、保健所のような食中毒のデータの収集が求められる機関における、原因となるきのこの簡便で安価な同定や、2002年〜2006年までの食中毒でも発生件数の内32%を占めている不明の内、きのこの同定が不可能で不明となっているもの簡便で安価な同定による減少や、科学捜査研究所などにおける法医学鑑定の進歩に役立つと考えられる。
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Research Products
(4 results)