2008 Fiscal Year Annual Research Report
吸着水分子の存在形態と細胞壁の膨潤挙動に関する研究
Project/Area Number |
18580165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 隆人 Kyoto University, 大学院・農学研究科, 教授 (20362907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 毅尚 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90314616)
大谷 忠 茨城大学, 教育学部, 准教授 (80314615)
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Keywords | 吸着 / 膨潤 / 水 / 竹 / 木材 / 細胞壁 / 熱処理 |
Research Abstract |
■吸着等温線解析の結果から、モウソウチクの水分吸着性は根元ほど大きく先端部に行くほど低下し、それは高相対湿度において顕著に発現した。これは、ヘミセルロースなどの吸湿性の単糖・多糖類の分布、水分吸着性の低い維管束の微細構造による影響とその分布によるものであることを明らかにした。■モウソウチクの吸着特性の熱処理変化を水分吸着過程測定によって解析した。得られた回帰曲線の諸パラメータを比較検討およびDubinin & Rudshkevich理論のパラメータと吸着過程のパラメータとの比較を行った結果、吸着媒である熱処理モウソクチクの特性が処理時間5hrを境に異なることにより、吸着過程の特性が2つの領域に分けられた。これは、吸着サイトの減少と熱分解によるガス化による微細毛細管が形成され吸着特性が変化によることが見出された。エゾマツに関しても同様の空隙構造の形態変化と分布が熱処理温度において異なることが吸脱着挙動に影響することが明らかにした。■熱処理過程での木材の水の吸着挙動の変化について、吸着等温線のH&H理論、D&R理論、そしてNeimarkのフラクタル理論に基づいて解析した。その結果、吸着挙動は概ね重量減少率で統一的に記述でき、重量減少率ΔΔW=-0.2の点が木材の吸着機構が顕著に変化する重量減少率であることを明らかにし、内部表面構造の変化が熱処理温度に強く依存することが定量的に明らかになった。■木材細胞を円筒モデルで近似し、実質膨潤率と実測される外部膨潤率との関係を定式化を試みた。部分モル容積を用いることによって、細胞壁の内部側への膨潤と外部への膨潤が生じる条件を定式化が可能になった。この式に基づいて、単位含水率あたりの膨潤率と密度との関係におけるバラツキが細胞壁断面の形態変化の違いで説明できた。さらに、導かれた式において、Δh/Δrは細胞壁の内側方向と外側方向の膨潤に関するパラメータとして細胞壁断面の形態変化を定量的に議論が可能となった:Δrは外径の外側への膨潤量、Δhは壁厚の全膨潤量。
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