Research Abstract |
アルカリ水溶液で処理した竹材から長繊維束を掻き取り,長繊維を分離した.残渣として,絡み合った繊維束を得たが,それを1cm長に切断して,短繊維束を調製した.長繊維束にイソシアネート接着剤を添加し,それらを一軸配向させて成形し,繊維配向材料を得た.それより,φ12で長さ26cmの丸ピンを調製した.一方,接着剤を添加した長繊維束と短繊維を交互に積層してマットを形成し,それを熱圧成形し,プレートを作成した.丸ピンについて,3点曲げ試験を行って得られた強度は415MPa,ヤング率は50GPaであった.これらのピンの強度は,軟鋼のそれに匹敵した.調製したプレートの表層はランダム配向の短繊維の層で,芯層は一軸配向の長繊維の層である.プレートにピン用の穴を上下二つ設け,それぞれに金属のピンを挿入し,それぞれを反対方向に引っ張って,プレートのせん断試験を行った.プレートの芯層の長繊維の配向方向が荷重方向と平行の場合,プレートの最大荷重および支圧強度は,それぞれ8.94kNおよび61.5MPaであった.一方,長繊維の配向方向が荷重方向と直交する場合,プレートの最大荷重および支圧強度は,それぞれ0.87kNおよび4.83MPaであった.前者のプレートは,後者のプレートに比べ1桁以上の最大応力およびヤング率が得られた.このことより,プレートは,長繊維の配向方向と荷重の方向を一致させて使用することが必要であることが明らかとなった.プレートの表裏にカラマツ製材を置き,これらを貫通してφ12を挿入する穴を一つあけ,ピンを通した後,カラマツ製材を試験機内に置き,プレートの上面より荷重を加え,ピンのせん断試験を行った.ピンの塑性率および降伏耐力は,それぞれ4.51および2.76kNであり,プレートとして十分な性能を示した.
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