2008 Fiscal Year Annual Research Report
木材とエタノールの反応によるアセトアルデヒド発生機構の解明
Project/Area Number |
18580171
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
塔村 真一郎 Forestry and Forest Products Research Institute, 複合材料研究領域, チーム長 (70353779)
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Keywords | アセトアルデヒド / 木材 / エタノール / VOC |
Research Abstract |
木材とエタノールの反応によりアセトアルデヒドが発生する機構を解明することを目的とし、木材側の因子として樹種、養生条件および部位(心材部、白線帯、辺材部)、木材の滅菌処理(ガス滅菌)や加熱処理の影響を、またエタノール側の条件として濃度、塗布量、接触方法の影響等について調べた。その結果、スギ材およびヒノキ材にエタノールを滴下するとアセトアルデヒドの放散が認められたが、滴下しない場合には認められないことやろ紙やガラス板など他の材料では放散しないことから、木材とエタノールの接触による特異な反応であることが確認された。スギ材からのアセトアルデヒド発生量はヒノキ材のそれより高いこと、アセトアルデヒドの気中濃度は心材で高く、次いで白線帯、辺材の順に低くなることがわかった。チャンバー内、屋内、屋外の3ヵ所での養生条件の影響については、屋外で若干高かったものの有意な差異は認められなかった。さらにエタノールの添加量とともにアセトアルデヒド発生量が増大することや、直接接触しなくても木材がエタノールガスに曝される状態に置いてもアセトアルデヒドが発生することがわかった。また、木材に対して加熱処理や滅菌処理など菌や酵素を失活させるような処理を施した後にエタノールを添加すると、アセトアルデヒドの発生が大幅に抑制されることから、エタノール脱水素酵素(ADH)によるエタノール酸化反応機構である可能性が高いこと、この酵素は特にスギ材の心材部に多く存在すること、ADHを持つ菌体の木材表面への空気中からの付着による可能性も否定できないことなどがわかった。
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Research Products
(5 results)