2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580172
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東藤 孝 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (60303111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 將 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10101734)
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Keywords | 性転換 / 器官培養 / 性ホルモン / 卵巣 / 精巣 / ベラ科魚類 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
本研究では、雌性先熟型の性転換を行うミツボシキュウセン(Halichoeres trimaculatus)の卵巣器官培養系を用いて、卵巣から精巣への転換を調節する分子機構について解析した。今年度は先ず、卵巣から精巣への性転換に及ぼすエストロゲンとアンドロゲンの拮抗作用について、より詳細に調べた。様々な濃度(10^<-9>-10^<-6>M)のエストラジオール17β(E2)を10^<-7>Mの17α-メチルテストステロン(MT)とともに卵巣器官培養系に添加したところ、精子形成の進行はほとんどみられず、卵巣組織も維持されていた。この結果から、E2は卵巣機能を維持するとともに、アンドロゲンによる精子形成促進効果も抑制することが示唆された。また、生殖細胞特異マーカーであるVasaタンパクに対する抗体を用いて、培養下での卵巣から精巣への転換過程に伴う生殖細胞の増殖を免疫組織化学的に解析した。その結果、先ず卵巣薄板の上皮において生殖細胞の増加が起こり、さらにそれらが生殖腺の内部に向かって増殖していく様子が観察され、これは他の雌性先熟魚において報告された精原細胞の増殖様式と類似していた。前年度と今年度において得られた本種の卵巣器官培養系を用いた研究結果は、これまでに様々な性転換魚で得られている生体内実験系の結果を強く支持するものであり、魚類の性転換において性ステロイドホルモンが非常に重要な役割を担っていることがあらためて示された。
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Research Products
(3 results)