2007 Fiscal Year Annual Research Report
トラフグ高密度連鎖地図を利用した主要養殖魚のゲノム構造の推定
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18580175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 潔 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20292790)
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Keywords | フグ / 比較ゲノム / 魚類 / 養殖 / 進化 |
Research Abstract |
近年、主要な穀類や家畜類において、ゲノム配列情報と連鎖地図を組み合わせて新系統(品種)を短期間でつくりだす分子育種法の実用化に向けた取り組みが開始されている。しかし、我が国の養殖対象魚類は多岐にわたり、そのすべてにおいてゲノム配列解読を進めることは今のところ現実的ではない。そうした中、申請者は、トラフグとメダカのゲノム構造(約108個の同祖遺伝子)を比較して、両者のゲノム構造が類似している可能性を見いだした。これが真実ならば、トラフグと他のモデル魚類の全ゲノム構造を比較することにより、ブリ類、マダイ、ヒラメ類などの主要養殖魚のゲノム構造を高精度で推定できると考えられる。 本研究では、まず、トラフグのゲノム構造を明らかにするため、全ゲノムの84%の塩基配列を連鎖地図上に貼付けて、遺伝子の位置情報を得た。次に、トラフグのゲノム構造(遺伝子の位置情報)をトラフグ・ミドリフグ・メダカ・ゼブラフィッシュのそれと比較したところ、トラフグ・ミドリフグ・メダカ間で、驚くほど「シンテニー」が類似していることが明らかとなった。また、これらの魚種の共通祖先からそれぞれの魚種に至るまでの染色体間再編成の過程を推定したところ、染色体間再編成事象はごくわずかな数しかおきていないと考えられた。染色体上の「遺伝子の並び順」を比較したところ、これも高い保存性を示した。分岐年代を考慮に入れて、棘鰭鰭上目(トラフグ、ミドリフグ・メダカ)における染色体再編成率を、哺乳類(ヒト・マウス・オポッサム)のそれと比較したところ、棘鰭鰭上目における染色体再編成率が低いことが明らかとなった。この率を基に、ブリ・フダイ・ヒラメなど棘鰭上目に属する主要養殖魚類のゲノム構造が共通祖先のゲノム構造から変わり得る幅を推定した。別途、構築したトラフグゲノム地図を利用して、これまで同定困難であった複数の魚類遺伝子について、ヒト遺伝子との同祖関係を明らかとした。
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