2006 Fiscal Year Annual Research Report
脱窒関連遺伝子を用いた高感度脱窒検出技術の開発と日本沿岸域の脱窒マップ作成の試み
Project/Area Number |
18580182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉永 郁生 京都大学, 農学研究科, 助手 (40230776)
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Keywords | 脱窒 / アナモックス / 16S rDNA / Marinobacter / RT-realtime PCR / 窒素循環 / 汽水域 / 脱窒細菌 |
Research Abstract |
播磨灘の海水より,現場の脱窒細菌優占種として分離し,研究室で保存していたMarinobacter属脱窒細菌株(HS7株とHB7株)の脱窒関連遺伝子(nirS, norBおよびnosZ)のうち,いまだ決定していなかったnorB(NO還元酵素の構造遺伝子)の配列を決定した。これをもって,Marinobacter属脱窒細菌2株が亜硝酸(NO2)から窒素ガス(N2)を生産する反応に関わるすべての段階の構造遺伝子が決定できた。この情報をもとに,これら3遺伝子のmRNA転写量を高感度に検出するため,RT-real time PCR法を開発した。その結果,両菌株ともに脱窒条件下ですべての遺伝子を同調的に発現誘導していることがあきらかになった。 さらに,日本沿岸域の数地点から海底堆積物を採取し,GC-15Nトレーサーを用いたGC-MS法によって脱窒活性とアナモックス活性(嫌気的アンモニア酸化,アンモニアを亜硝酸で酸化することによってエネルギーを獲得する反応で,生成物として窒素ガスと水が生じる。)も測定した。その結果,これらの海域では通常の脱窒が卓越しているとは思われるものの,大阪湾沿岸の汽水域(淀川河口域)では脱窒活性の1/10程度のアナモックス活性も存在していることを発見した。さらに新たに開発したPCR系を用いて,既知のアナモックス細菌(現在までに7種が記載されているがいずれも完全分離には到っていない。)に近縁の遺伝子断片を解析したところ,Candidatus Scalindua wagneriiに近縁な細菌がこの海域のアナモックス細菌群集で優占していることが明らかになった.しかしその中にも多様性が存在し,これまで考えられてきたよりもアナモックス細菌群集が多様性に飛んでいる可能性が示唆された。また,これは日本沿岸海域からのアナモックス反応および細菌を検出した最初の例である。
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Research Products
(1 results)